Zoom Video Communicationは年次の基幹イベントであるZoomtopia 2024を開催し、Zoom WorkplaceとZoom Business Services向けの新しいAIファーストのワークプラットフォームイノベーションを発表した。
Zoomtopia 2024では、AI Companionをカスタマイズ/パーソナライズする新しいアドオン オプションであるZoom AI Companion 2.0、Zoom Workplace全体にわたってユーザーがアクションを実行できるようにする Zoom Tasks、最先端のAIによって支えられた従業員と顧客の体験イノベーションの強化が発表された。
ZoomのAIイノベーション
Zoom WorkplaceとZoom Business ServicesにおけるこのAIファーストのアプローチにより、個人もチームも時間を有効活用することができる。また、人々との関わりやつながり、そして創造的で洞察に富んだ仕事といった、自分たちが得意とする作業に注力することができる。
ZoomのAIへのフェデレーテッドアプローチは、Zoomの技術スタックが複数のAIモデルからダイナミックに選択して、高品質のアウトプットを提供することを可能にする。また、責任を持って顧客に管理システムを提供し、ユーザーがコラボレーションの強化、時間の最適化、タスクの効率的な優先づけができるよう支援する。
Zoom AI Companion 2.0
AI Companion 2.0の機能は次のとおり。
持続性:ユーザーはZoom Workplace全体を通してシームレスに利用可能で、常時表示される便利なサイドパネルからAI Companionを利用できるようになった。グラフィカルユーザー インターフェース(UI)と対話型UIをシームレスに統合した AI ファーストのUIを提供することで、Zoom Workplace全体の情報フローを向上させる。
拡張されたコンテキスト:ユーザーがZoom Workplaceアプリ内で閲覧したものや過去の会話に基づく高度なコンテキストを理解し、インテリジェントな提案や引用をともなう回答を提供して、ユーザーが業務に集中できるようにする。
高度な統合:Zoom Workplace全体からやり取りを取り込み、連携させることでMicrosoft Outlook、Gmail、Googleカレンダー、およびMicrosoft OfficeとGoogle Docsでアップロードされたファイルの情報も取り込んで、ユーザーがコンテンツややり取りを要約し、キャッチアップできるよう支援する。
ウェブとの接続:ウェブで情報をリアルタイムに検索し、ユーザーの質問に答えることができるようになる。
アクションの実行:Zoom Workplaceのさまざまなワークロードでアクションを検出、追跡、完了できるようになり、ユーザーは効率的に仕事をこなせるようになる。
AI Companion 向けカスタムアドオン
新しいオプションのアドオンは、個々のユーザー向けにカスタマイズ/パーソナライズされたAI Companion体験を可能にする。MicrosoftやGoogleのメールおよびカレンダーサービスだけでなく、他のアプリへのデータアクセスも拡張し、さらなる企業データソースにアクセスすることで、ナレッジを拡充する。また、企業用語集を用いたカスタマイズを可能にし、検索機能の強化、およびユーザーに代わってアクションを実行できるようにする。パーソナライズ機能により、ユーザーのアカウントにおけるAI Companionのパフォーマンスを向上し、パーソナライズされたコーチを活用したスタッフ育成の取り組みを拡充することができる。また、カスタムアバタークリップによって、時間とリソースの節約にも役立つ。新しいアドオンの主な機能は次のとおり。
AI Studioで体験をカスタマイズ:企業は、カスタム辞書、ミーティング要約、ナレッジコレクションを活用して、独自のビジネスニーズに合わせてAI Companion体験をカスタマイズすることができる。また、企業のデータソースに接続することで応答精度が向上する。
サードパーティ製アプリとの連携:ZoomのAI機能と統合するサードパーティのデータソースとの接続オプションにより、包括的な洞察を得ることができる。これによりAI Companion は、Atlassian(Jira & Confluence)、Glean、Workday、Zendesk、ServiceNow、Box、Asana、Hubspotなどのサードパーティ製アプリ全体から回答を得たり、アクションの編成ができるようになる。
パーソナライズ機能:AI Companionのカスタムアドオンにより、ユーザーはパーソナルコーチング機能でスキルを向上し、Zoom Clips向けカスタムアバターで時間と制作コストを節約することができる。カスタムアバター機能は、ユーザーが用意したスクリプトを使用して、パーソナライズされたAI生成アバターでクリップを作成することで、何度も撮影をする手間を省き、ビデオクリップ作成の効率化をサポートする。
Zoom Workplaceの進化
- 仕事の進行を管理
Zoom Workplaceを使えば、従業員は一日を効率よく過ごし、効率的に仕事をこなすことができる。新しいイノベーションには、AIファーストの製品であるZoom Tasksや、Zoom Phoneの機能強化が含まれる。
Zoom Tasks:AI Companionを使用して、Zoom Workplace内の会話に基づきユーザーのタスクを検出、提案、完了する。
リアルタイムクエリ:Zoom Phoneで通話の際に、リアルタイムで要約を提供する。
Zoom Phoneボイスメール生成:ユーザーが設定することでAI Companionがユーザーの声紋から、旅行予定などユーザーのスケジュールに合わせてパーソナライズされたボイスメールのあいさつを自動的に作成する。これにより、手動によるボイスメールの更新が不要になる。
- 効率的なコラボレーション
Zoom Workplaceのユーザーは、AI Companionのミーティングアジェンダとリアルタイム サマリーを使用して、より生産的なミーティングと、効率的な共同作業を行うことができる。
ミーティングアジェンダとリアルタイムサマリー:ミーティングにおけるトピックが網羅されていることを確認し、ミーティングを予定通りに進行するのに役立つ。
Zoom Clips:事前に選定されたアバターライブラリを使用して、テキストからプロフェッショナルな動画コンテンツを生成することができる。
Zoom Docs:より細かい制御を可能にする組織および権限の設定オプション、プロジェクトでのコラボレーションを促進するための新しいデータテーブルの表示や列、APIとワークフローの自動化、さらに、執筆シナリオや追加のデータソースに合わせたテンプレートからコンテンツを生成し、執筆を効率化するAI Companion機能を提供する。
- 対面での体験
Zoomは、モバイルデバイスのZoom Workplaceアプリを通じてミーティング要約とアクションアイテムを提示する、対面ミーティング向けAI Companionを発表した。オフィス内のミーティングでは、AI Companionがワークスペース予約内に拡張され、チームメイトがオフィスにいる時間に基づいてオフィスに行くべき日を提案したり、場所や広さに基づいてミーティングルームを勧めたりすることで、チームメイトとの調整、コラボレーションを容易にし、オフィス内のスペースをもっとも適したものにする。
- 従業員エンゲージメント
従業員とのつながりを促進するAIファーストの新しい従業員エンゲージメント ソリューションには、次が含まれる。
AI Companion for Workvivo:コンテンツを作成することで、従業員への情報提供、エンゲージメント、結びつきを強化する。
Workvivo Employee Insights:従業員のエンゲージメント、幸福度、パフォーマンスの測定を支援する。
Business Servicesの強化
- Zoomの顧客体験
Zoomは、セルフサービスソリューションの強化と、エージェントおよび管理サポート機能の向上を実施し、ワールドクラスの顧客体験を提供できるようにした。
セルフサービスチャットボットであるZoomバーチャルエージェントは、より複雑な顧客の問題を処理するために、複数の意図を検出する機能を追加した。これにより、一回のやり取りで複数の問題に対処することができることに加え、現在のトレンドや一般的な問い合わせから得た学習に基づき、顧客の意向を自動的にアップデートする。また、Zoomバーチャル エージェントの機能をセルフサービスの音声通話に取り込んだ、AIバーチャルボイスエージェントも提供する。
新しいAuto Quality Managementにより、スーパーバイザーはエージェントのパフォーマンスに関する包括的なインサイトを得ることができ、顧客とのやり取りを自動的に採点することができる。
新しいAIエキスパートアシスト機能には、ダイナミックエージェントガイドが含まれる。これは、AIエキスパートアシストが会話の文脈を分析したうえで、エージェントがこれまでどのプロセスを経たかを把握し、関連する次のステップへと案内する。
各業界に特化したサービス
働く場所や業界など、異なる職種の人々には独自のニーズがある。そこでZoomは、AIで強化されたソリューションを発表した。
Zoom Workplace for Frontline:現場で働く人向けのサービスで、従業員の生産性、エンゲージメント、コラボレーションを促進するモバイル中心の体験を提供する。AI Companionが生成する勤務シフトの要約や、シフト制の職場におけるコミュニケーション、業務管理、洞察などが含まれる。
Zoom Workplace for Healthcare:ヘルスケア業界向けのサービスで、AI Companion2.0を導入し、担当者がより多くの仕事をこなせるよう支援する。医療機関のユーザーは、医療辞書のカスタマイズおよびパーソナライズ機能や、電子健康記録のようなサードパーティのデータソースへのアクセスを提供する、AI Companion for Healthcareのカスタムアドオンを購入することもできる。
Zoom Workplace for Clinicians:臨床ワークフローを自動化することで臨床医の時間の節約を支援する。このソリューションの中核は診療記録で、専門的なヘルスケアAIを使用することで、書類作成の負担を軽減し、医師と患者のやり取りを強化する。
Zoom Workplace for Education:AI Companion2.0を導入した教育機関向けのサービス。授業計画、授業の要約、パーソナライズされたフィードバック、授業内での生徒のエンゲージメントといった教育に特化した機能強化を行う。生徒向けの機能には、AI Companionが生成するライブノート、Zoom Docsなどがある。AI Companion for Educationのカスタムアドオンは、生徒情報システム、学習管理システム、その他機関のコンテンツなどサードパーティのデータソースへの追加アクセスを提供する。
Zoom 創業者兼 CEO Eric S. Yuan氏のコメント
Zoomでは、単にコミュニケーションを再構築するだけでなく、仕事におけるあらゆる体験に革命を起こそうとしています。私たちのビジョンは、チームがこれまで以上の成果を達成できるような、人と人とのつながりのためのAIファーストのワークプラットフォームを創造することです。すでにAI Companionは生産性を向上させており、私たちはお客様の働き方改革を支援しています。これは単なる進化ではなく、デジタル時代における作業の進め方を完全に見直すものです。