米国Salesforce（以下、Salesforce）と、米国Workday（以下、Workday）は、新しいAI従業員サービスエージェントの計画を発表した。これにより、時間のかかるタスクを自動化し、パーソナライズされたサポートを提供するとともに、従業員がよりスマートに働けるよう支援するためのデータドリブンな知見を提供する。
発表の背景
Salesforceの新しいAgentforce PlatformおよびEinstein AIと、Workdayプラットフォームおよび Workday AIを組み合わせることによって、企業はさまざまな従業員向けサービスに対応するエージェントを作成し、管理することができようになる。このAIエージェントは、ビジネス全体における従業員と顧客の成功を促進するために、人と連携し、能力を向上させる。企業はSalesforce CRMデータとWorkdayの財務および人事データを活用することで、自然言語で従業員とコミュニケーションをとることができ、信頼性が高い共有データ基盤を構築する。その結果、社員採用時の手続きや福利厚生の変更、キャリア開発などのタスクが容易になる。
複雑な問い合わせが発生した場合、AI従業員サービスエージェントは、スムーズな引き継ぎのために過去の履歴とコンテキストを保持しながら、適切な担当者へとシームレスにつなぐ。人間とAIがシームレスに連携する独自のアプローチにより、生産性と効率性を高め、従業員エクスペリエンスをもたらす。
パートナーシップの背景
本戦略的パートナーシップで、ビジネスで広く利用されているふたつのクラウドプラットフォームが連携することとなり、働き方を変革し、生成AIを活用した従業員エクスペリエンスを提供することができる。具体的な提供内容は、次のとおり。
Einstein 1 PlatformとWorkday AIを活用したAI従業員サービスエージェント：SalesforceとWorkdayは、EinsteinのエージェントプラットフォームとWorkday AIを統合することで、ふたつの生成AIソリューションにSalesforceからでもWorkdayからでもアクセスすることができる、ひとつのシームレスな従業員エクスペリエンスを提供する。このAI従業員サービスエージェントは、大規模言語モデル （LLM）を使用して自然言語でコミュニケーションを行い、共有データ基盤を活用して、従業員の問い合わせに対して適切な対話型で応答する。このエージェントは、従業員を中心に据えながら、従業員に代わって推奨し、実行する。人による対応が必要とされる複雑な問題が発生した場合には、シームレスかつスピーディーに、適切な担当者への切り替えと引き継ぎを行なう。
Salesforce Data CloudとWorkday上に構築された共有データ基盤：SalesforceとWorkday は、Workdayの財務および人事データとSalesforce CRMデータをつなぐ、単一の共有データ基盤となる。それを可能にするために、WorkdayはSalesforce Zero Copy Partner Networkを活用する。これにより、顧客はデータの複製やカスタム統合を行う必要はなく、Salesforce とWorkday双方のプラットフォームから財務、人事、CRMデータにアクセスして操作することができるようになる。同時に、ユーザーは許可された情報のみを閲覧することができるため、データ共有の安全性も保証される。
WorkdayとSlackのシームレスな統合：WorkdayはSlackとの既存の連携をさらに強化し、ユーザーがタスクや給与、求人情報、従業員情報、総勘定元帳など、Workdayの財務および人事データにSlackから直接アクセスし、コラボレーションできるよう、対話型インターフェースを提供する。Slackはこれらの記録に関する対話を保存し、Workday上でいつでも容易に情報を検索・要約し、実行できるようする。
従業員にとってのメリット
自然言語による会話を通じて、従業員はSalesforce、Slack、あるいはWorkdayのいずれのプラットフォーム上でも、AI従業員サービスエージェントからサポートを受けることができる。AI従業員サービスエージェントは、リクエストを理解し、Workday－Salesforceの統合データソースから関連するナレッジやインサイトを取得し、プラットフォーム間での解決を自動化することで、状況に応じたサポートを提供する。
シームレスなオンボーディング：事務処理、リソースの提供、トレーニングの調整を行い、新入社員のスピーディーな立ち上げを支援する。
セルフサービスのHR：有給休暇や福利厚生、社内規定に関する質問にエージェントが回答し、ヘルスケアプランの更新といったセルフサービスの手続きを可能にする。
継続的な学習：Workday上に集約されている従業員の役割やスキル、キャリアの関心に基づいて、パーソナライズされた学習パスを作成する。
企業にとってのメリット
SalesforceとWorkdayは、人事データ、財務データ、そして業務データをAIモデルに融合させることで、従業員1人ひとりの生産性を超えて、全体的な労働力のインテリジェンスや、最適化、レジリエンスを向上させる。
精密なワークフォースプランニング：Workdayから得られるスキル供給予測とSalesforceからの需要動向を統合することで、より正確なキャパシティプランニングを図る。
継続的なファイナンシャルプランニング：統合された従業員と顧客のデータを、ローリング フォーキャスト、シナリオモデリング、オペレーション分析にフィードバックする。
インテリジェントなセールスイネーブルメント：過去の活動履歴を分析し、的を絞ったコーチングを推奨することで、営業担当者が複雑な取引を進められるように支援する。
Salesforce 会長兼 CEO マーク・ベニオフ（Marc Benioff）氏のコメント
あらゆる企業にとってAIは、従業員の能力を強化し、優れたカスタマーエクスペリエンスを提供します。だからこそ、人間とAIが一体となって顧客の成功を後押しする新しい Agentforce Platform、そして従業員サービスエージェントを共同で構築するためのWorkday との新たなパートナーシップに、大きな期待を寄せています。自律的な生成AIによって企業がすばらしい体験を創造できるよう、共に支援していきます。それによって、すべての従業員が迅速かつ効率的に答えを得て、新たなスキルを学び、問題を解決し、迅速かつ効率的に行動を起こすことができるようになるのです。
Workday CEO カール・エッシェンバック（Carl Eschenbach）氏のコメント
従業員、顧客、財務は、あらゆるビジネスに欠かせない最も重要な三要素です。Salesforce とWorkdayは、プラットフォーム、データセット、そして強力なAI機能を統合することで、これまでにないAIを活用した従業員エクスペリエンスの実現に向けてお客様を支援します。それにより、顧客満足度のさらなる向上とこれまでにないビジネス価値を創造します。
クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド CDO 兼CIO サル・コンパニエ（Sal Companieh）氏のコメント
当社は世界有数の商業用不動産サービス企業として、従業員エクスペリエンスとデジタルフットプリントの最適化を追求し続けており、それがクライアントのビジネス推進にも寄与しています。私たちが頻繁に利用する2つのプラットフォーム、WorkdayおよびSalesforceのパートナーシップによって、両社間のワークフローが合理化され、AIを活用してさらにパーソナライズされた従業員エクスペリエンスは革新的となるでしょう。
Constellation Research, Inc. CEO R・“レイ”・ワン (R “Ray” Wang) 氏のコメント
ビジネスプロセスとデータの統合は、AIの時代における経営者の最大の関心事のひとつです。これまで顧客と従業員、そして財務データを横断的に可視化できるベンダーやパートナーシップをなかなか見つけることは困難でした。しかし、WorkdayとSalesforceの共有データ基盤は、従業員エクスペリエンスを、よりパーソナライズし、効率化し、影響力のあるものへと抜本的に変えるAI機能の提供を可能にしてくれます。これは、全体的なビジネスパフォーマンスの向上へとつながると期待しています。
