HiCustomerは、カスタマーサクセスに携わる人を対象に行ったアンケート調査「カスタマーサクセス実態調査2023」の結果を発表した。
調査概要
- 調査期間:2023年4月18日~4月30日
- 調査機関(調査主体):自社調査
- 調査対象:カスタマーサクセスサクセスに関わる人
- 有効回答数(サンプル数):203
- 調査方法(集計方法、算出方法):インターネット調査
カスタマーサクセス白書2023(一部抜粋)
国内SaaSのメトリクス
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年間発注額(ACV:Annual Contract Value)
ACV13〜60万円(MRR1〜5万円)の価格帯が27.1%を占めている。2022年は全体的に低めの価格帯に移行していたが、2023年はACV241万円(MRR20万円)以上の割合が増加していることがわかる。
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月次解約率(Monthly Revnue Churn Rate)
月次解約率2%未満の企業が50.0%と半数以上を占めている。一方で、月次解約率6%以上の企業が24.3%と、2022年と比較して増加しており、カスタマーサクセスの取り組みの成果が二分している様子がうかがえる。
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売上維持率(NRR:Net Revenue Retention)
売上維持率は90〜100未満の企業が46.9%と最多になっている。グローバルで合格基準とされる120を超える企業も25.0%存在しているが、まだまだ伸びしろがあると言える。
カスタマーサクセスの取り組み
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カスタマーサクセスチームが責任を負っている指標
カスタマーサクセスが負っている指標について聞いたところ、「売上ベースの解約率」を指標としているチームがもっとも多かった。2020年から3年連続でトップとなっていた「社数ベースの解約率」は次点となっている。
また「NRR」を指標としているチームは、昨年の26.5%から13.4ポイント上昇し、2年連続で上昇している。
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直近1年間でもっとも優先度の高いKPIに寄与した施策
この1年間で、もっとも優先度の高いKPIに寄与した施策については、昨年に引き続き「オンボーディングプロセスの見直し」が25.1%と多数を占めた。
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直近1年間で行ったKPI改善のための施策で、もっとも期待外れだった施策
KPI改善のために行ったもっとも期待外れだった施策については、「データ分析/可視化」が9.8%とトップとなった。
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直近1年間でCS組織の生産性向上にもっとも寄与した施策
この1年間でCS組織の生産性向上にもっとも寄与した施策については、「データ分析/可視化」が14.8%でトップとなった。「データ分析/可視化」によりフォローすべき顧客の優先順位/見極めを行ったり、施策の成果を振り返りアクションの精査を行うことで、生産性向上につなげたチームが多いとうかがえる。
次点には、KPI改善にもっとも寄与した施策でトップとなった「オンボーディングプロセスの見直し」が挙がっている。
営業とカスタマーサクセスの連携
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4割の人が、営業からの引き継ぎが不十分だと感じている
営業からカスタマーサクセスへの引き継ぎについてたずねたところ、38.5%の方が引き継ぎが十分に行われていないと回答した。
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情報の網羅性/正確性だけではなく、営業担当のマインドも引き継ぎの十分さに影響を与える
引き継ぎが不十分だと感じる人に理由をたずねたところ、「営業担当のマインド」と「引き継ぎ内容の不足」がともに18.8%とトップに挙がった。引き継がれる“情報”だけではなく、受注後のプロセスへの営業の理解が重要な要素となっていることがわかる。
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引き継ぎが不十分なほど解約率が高くなる
引き継ぎが不十分な企業の63.3%が、解約率が2%以上となっており、引き継ぎが十分な企業の1.7倍となっていることがわかった。また引き継ぎが不十分な企業では解約率が15%以上の企業が10%と、引き継ぎ不足は大きな事業リスクにつながることがわかった。
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引き継ぎが不十分だとエクスパンションの機会損失の可能性が高くなる
さらに売上維持率(NRR)についても見てみると、引き継ぎが十分に行われている企業では100以上が60%と、引き継ぎが不十分は企業の1.4倍となっている。顧客の状況を正しく引き継ぐことで、解約防止のみならずエクスパンション創出にもつなげられることが明らかとなった。
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サクセス実現のためにはゴール・プロジェクト関係者情報の連携が必要
「カスタマーサクセスが引き継いでほしい情報」と「営業から必ず引き継がれる情報」についても調査した。差分が大きい上位3項目は、「提供サービスの導入を通じて実現したいことや達成したいKPI」(差分23.5ポイント)、「意思決定者の定性情報」(差分20.8ポイント)、「意思決定者以外のプロジェクトに関わる関係者の定性情報」(差分19.3ポイント)となった。