日経HRは、転職エージェントを対象とした中途採用に関する調査を実施した。2021年の中途採用の求人件数は「増える」の予想が5割となり、選考基準は「厳しくなる」との回答が約7割を占めた。コロナ禍で企業のコスト意識が高まる中、即戦力を求める傾向が続くという転職エージェントの予想が集まった。
21年求人件数の予測 2021年求人件数は「増加を見込む」 中長期では増加予想7割に
2021年の中途採用求人件数は「大幅に増えると思う」が2.7%、「少し増えると思う」の50.7%を合わせた「増える」は約5割という結果に。中長期の視点では「大幅に増えると思う」が17.3%、「少し増えると思う」が56%と、「増える」の予想は約7割となり、21年と比較して2割増加した。増加が予想される要因として、コロナ収束後の景気回復や20年の採用控えの反動、コロナによる事業の見直し、新規事業進出にともなう人材獲得などが挙げられた。
企業の選考基準は「厳しくなる」が約7割 人件費抑制で即戦力の需要増
求人増となる業界予想 DXの流れを受けて「IT・通信・インターネット」に集中
2021年の中途採用の求人件数がに対して、「増える」と回答した人を対象に、求人件数の増加がとくに見込まれる業界について尋ねると、「IT・通信・インターネット」が72.5%ともっとも多かった。さまざまな業界、企業でDXの流れが加速する中、それらを支援する業界はさらに活況が続き、求人件数の増加も予想されている。
求人増となる職種予想 DXを支える「IT・ウェブ・ネットワークエンジニア」がトップ
前問と同様、2021年に求人件数の増加が見込まれる職種について尋ねると、DXを推進する「IT・ウェブ・ネットワークエンジニア」がもっとも多く62.5%という結果に。「企画・マーケティング」という回答は30%で、新規事業進出などにかかわる人材ニーズの高まりも推察された。
転職のキーワードは「DX」「IT」「即戦力」が上位
2021年、求人需要が高まりが予想される人材のキーワードについて尋ねると、「DX」が64%、「即戦力」が50.7%、「IT」が44%、と上位3ワードに回答が集まった。このほか「女性管理職」と「M&A」が13.3%と続いた。なお、これら以外に10%を超えたキーワードはこのほかになかった
転職希望者数の変化は「変わらない」が3割
転職希望者数の変化を尋ねると、「変わらない」が30.7%ともっとも多く、次いで「少し増えた」が21.3%、「減ったが元に戻った」が13.3%と続いた。
求人件数の変化は「少し減った」「大幅に減った」が約5割超
求人件数の変化を尋ねると、「少し減った」が30.7%、「大幅に減った」が26.7%と、合算すると5割超の回答が集った。
求人件数の落ち込みが大きかった業界は「サービス」「機械・メカトロニクス」
求人件数の落ち込みが大きかった業界を尋ねると、外出自粛や営業時間短縮などの影響を大きく受けた「サービス」が最多であった。そのほかにも、製造業の「機械・メカトロニクス」「電気・電子・半導体」、人員削減が進む「金融」を挙げる転職エージェントも。
求人件数の落ち込みが大きかった職種 「販売・サービス」「管理部門」「事務」が上位
求人件数の落ち込みが大きかった職種を尋ねると「販売・サービス」が56%ともっとも多かった。また、「事務、アシスタント、秘書」「管理部門」の落ち込みを指摘する声もあり、業務のIT化、RPA化へ舵を切る企業の増加が要因として挙げられた。
調査概要
- 調査対象:国内の主要な転職エージェント(人材紹介会社)
- 実施期間:2020年12月9日~18日
- 回答者数:75人(40社)