営業未経験者がインサイドセールスの面接で聞かれる質問の意図
そもそも求人に、営業未経験者を「歓迎」したり「活躍中」と記載されている場合には、転職のチャンスが十分にあるということだ。そういった表現は、未経験者を受け入れるつもりがあるためだと解釈しよう。
では、営業経験なしの人材に企業側が何を求めるかといえば、それは適性や意欲、マインドセットなどだ。つまり、採用後にインサイドセールスで活躍できる人材かどうかを面接で見極めることが質問の意図となる。
なお、本記事で取りあげるのはインサイドセールスという仕事そのものについての質問であり、「当社を選んだ理由は」といった個別の企業に関する質問をのぞいたものだ。
インサイドセールスの面接でよく聞かれる7つの質問と回答例
インサイドセールスの面接で、営業未経験者がよく聞かれる質問7つと回答例を紹介する。回答例はあくまで一例のため、先述した質問の意図や狙いを理解した上で、自分自身の回答を用意しておくことが重要だ。
また、質問に対する回答では、結論から話し始めているかや数字や実績を交えながら具体的に説明できているかといった、基本的なやりとりについても確認されていることを覚えておこう。
これまでの経験の中でインサイドセールスに活かせるスキルや経験は何ですか?また、それを選んだ理由も教えてください。
【質問の意図】
- インサイドセールスという仕事を理解しているか
- 自分のキャリアの中から適切なスキルや経験を選べているか
- スキルや経験を選択した理由や根拠
【回答例】
- 販売のスキルを活かせると考えています。部署内で優秀賞を3回受賞しています。私の場合は対面販売ですが、販売データから傾向を把握し、時期や年齢、性別などによって異なるニーズを把握するようにしています。その上で、お客様が何を望んでいるかをよく観察し、購買意欲に応じた対応を取るようにしています。
- 前職で営業アシスタントとしてデータ整理や報告書作成を担当し、数字を基に提案する経験を積みました。具体的には、売上データを分析して課題を見つけ、改善案を提示することが求められました。この経験を通じて、相手にわかりやすく納得してもらえる説明力を身につけました。このスキルは、インサイドセールスでデータを活用しながら顧客に提案する場面で活かせると思います。

相手のニーズを聞き出すために、どのようなことをしますか?それはどうしてですか?
【質問の意図】
- コミュニケーション力やヒアリング力、課題解決力の確認
- 相手への働きかけの手法やタイミング
- 上記の理由や根拠となる考え方
【回答例】
- まず、相手が話しやすい雰囲気を作るため、簡単に自己紹介したり、話題になっているニュースや出来事などを話したりします。その後、相手の行動の目的や背景を引き出せるようなオープンな質問へと切り替え、徐々にニーズを探っていきます。相手の緊張や警戒を解くことがニーズ確認の第一歩だと考えているからです。
- 相手の話を最後まで聞き、安心感を持ってもらいます。お話をお聞きしている間は、時折、共感を示す相槌を打ち、相手が話しやすい雰囲気づくりを心がけます。その後、相手の困りごとの解決を手伝うという姿勢を示して、ニーズの確認へとつなげます。ニーズの聞き出しには、信頼関係の構築が重要だからです。
目の前(電話の向こう)の相手が不満を訴えている場合、どのように対処しますか?それで得た結果の中で、もっとも良かったものを挙げてください。
【質問の意図】
- クレーム対応力や課題解決力の確認
- 傾聴力や共感力の確認
- 提案力の確認
【回答例】
- お客様から直接、商品への不満をお聞きしたことがあります。少し興奮しているようにお見受けしましたので、最後まで話を遮ることなくお聞きし、こちら側の不備についてていねいにお詫びしました。ご意見を改善に活かすとお伝えし、特別割引を適用したところ、それがきっかけでそのお客様が得意客になったことです。
- 電話対応で、待ち時間の長さに不満をお持ちのお客様がいらっしゃいました。そこで、ご不満をお聞きした上でお待たせしてしまったことをお詫びし、すぐに折り返しました。改めてご用件をおうかがいし、混雑する時間やほかの連絡方法をご案内することでご満足いただき、対応に対する感謝の言葉をいただきました。
自分のミスやクレームを受けたなどの失敗経験を挙げ、そこからどのように対応したかとその結果を教えてください。
【質問の意図】
- ミスや失敗に対する態度や対処法の確認
- 失敗の原因分析と対応策
- 失敗から学んでいるか
【回答例】
- お客様へのご案内で、日時を誤ったままメールを配信するというミスをしたことがあります。関係者からの指摘で自分のミスに気づき、すぐに上司に相談してお詫びと訂正のメールを送りました。通常よりも参加者へのリマインド回数を増やし、正しい日時を繰り返し伝えることで、混乱なく当日を迎えることができましたが、送信前のダブルチェックの重要性を痛感し、そこからはダブルチェックを欠かしていません。
- 社内プロジェクトで、自分の仕事が遅れ、他のメンバーに迷惑をかけてしまったことがあります。思い切ってプロジェクトリーダーに仕事量の多さについて相談し、他のメンバーに謝罪の上で協力を求め、最終的に納期に間に合わせることができました。ミスを正直に伝えることや協力を求める大切さを学び、メンバーとの信頼関係を崩さずにプロジェクトを終えることができました。
この相手へのアプローチはいったんやめるべきだという判断は、何を基準にしていますか?再アプローチのタイミングやその判断基準は何ですか?
【質問の意図】
- 相手へのアプローチを一時停止する判断基準の確認
- 今すぐ客やそのうち客を見極める方法
- 相手との関係維持や関係を発展させる力の確認
【回答例】
- 相手の反応によって判断します。そもそもやりとりを必要としない場合や明らかに反応がネガティブな場合は、いったんアプローチをやめるべきだと考えます。ただし、「今は必要ない」「しばらく忙しい」などの時期を示す情報があった場合には、再アプローチの許可を得てから数ヵ月おきなどにご連絡し、ご案内のタイミングを見計らうようにしています。
- 過去の実績やデータの分析結果を参考にしながら判断します。数回アプローチしても反応が良くない場合には、その時点でいったんアプローチをやめるべきでしょう。ただし、それでは何が原因かわからないため、再アプローチに向けて関連する情報や新製品のご案内を定期的に送り、タイミングや求めている内容を確認します。
仕事の優先順位はどのようにつけていますか?また、抜け漏れがないようにするために実施していることや使用しているツールがあれば教えてください。
【質問の意図】
- 目標達成への意欲
- 時間管理や仕事の効率化、改善を心がけているか
- ツールやアプリを使いこなしているか
【回答例】
- 時分の目標達成にとってどれだけ重要かを基準に、仕事の優先順位を決めています。たとえば、反応の良い見込み客への対応を優先的かつ時間を多く割くようにし、反応の良くない見込み客には同一内容のメールを送信して反応を見るといった具合です。仕事に抜け漏れがないように、タスクをカレンダーで見える化し、リマインドでうっかり忘れがないようにしています。
- 仕事の優先順位づけは、タスクの重要度や緊急度が基本ですが、それに加えて相手の期待値や納期も考え合わせています。例えば、迅速な対応が相手との信頼関係の強化につながる場合は、そちらを優先します。抜け漏れを防ぐ対策として、毎朝ToDoリストをチェックし、リマインド機能も活用することで、未対応の項目を見逃さないようにしています。

自分にストレスやプレッシャーのかかる状況でどのようにそれと向き合いますか?
【質問の意図】
- ストレス耐性や忍耐力があるか
- 負荷がかかる仕事にどのように対応するか
- 自分なりのストレス解消法を持っているか
【回答例】
- ストレスが高まったり大きなプレッシャーを感じるときには、自分ひとりで抱え込まないように注意しています。以前、自分ひとりで頑張ればいいと周囲に相談せず、かえって迷惑をかけてしまったことがありました。この経験から早い段階での相談や課題の共有が大切だと学び、それ以降はなるべく早く同僚や上司に相談するようにしています。
- 私は、ストレスやプレッシャーを、自分が頑張っているサインであり、成長できるチャンスだと考えるようにしています。例えば、目標から大幅に遅れてしまった際、それは自分への課題であり、この難局を乗り越えたら得られるものに目を向けるということです。また、体調を整えるために食事や睡眠に気をつけたり、家族や友人とリフレッシュする時間を持ったりすることも大切にしています。
未経験をポジティブに言い換える表現集
ここでは、営業未経験をどのように言い換えられるかを取り上げる。ポイントは、未経験をネガティブに捉えずポジティブに表現することだ。言い換え例のポイントは次の3つ。
- 成長意欲をアピールする
- 志望動機をアピールする
- 他業種での経験をアピールする
成長意欲の場合、次のような表現を用いよう。
- 営業経験はないものの、この仕事での強い成長意欲がある
- 新しい領域に対しての吸収力が速い
- 知的好奇心が強く、知識を習得することや視野が広がることに楽しさを感じる
志望動機の場合には、次のようなものがある。
- 変化を恐れず、新しいことを前向きに受け入れられる
- 未経験だからこそ、課題に対して真摯に向き合う努力を惜しまない
- 未経験の分野だからこそ、柔軟な発想で新しいアイデアを出せる
他業種での経験をアピールするなら、以下のような表現も利用可能だ。
- 前職で得られたこの経験を、ぜひインサイドセールスに活用したい
- これまでの経験から、人間関係を構築する力が高いと自負している
- 既存のスキルと意欲を組み合わせ、新たな価値を提供できると考えている
また、自分のキャリアプランを提示し、それに対してどのような努力をしてきたのかを伝えると説得力や信憑性が増す。

面接官の質問の意図を理解しよう
面接官の質問には、必ず意図がある。営業未経験者に対して確認したいのは、意欲や適性、経験などのポテンシャルだ。営業経験なしでも、しっかりと準備を整えれば面接でも十分にアピールできる。未経験をポジティブに言い換え、好印象を与えられるよう面接対策しておこう。