「レベニューオペレーション(RevOps)」の“世界標準”を解説
レベニューオペレーション(Revenue Operations:略称RevOps)とは「持続的な収益成長を実現するためにレベニュー組織の協業プロセスを強化し、戦略や戦術面で生産性向上を支援する方法論であり役割」を示す。レベニュー組織(マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスなど)のプロセス・データ・テクノロジーをシームレスにつなぎ、共通の目標達成を目指すことで、持続的な成長を実現するのだ。
2024年9月に出版された『レベニューオペレーション(RevOps)の教科書 部門間のデータ連携を図り収益を最大化する米国発の新常識(MarkeZine BOOKS)』(川上エリカ・丸井達郎・廣崎依久 著、翔泳社)では、マルケト(現:アドビ)において営業部長を務めた川上氏の学びや実践に基づき、RevOpsの標準的なオペレーションモデルが解説される。
本書において、レベニュー組織は「マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスと、それらを支えるオペレーション部門」(P.2)と定義される。注意したいのが、レベニュー組織をつくることは分業を推奨するものではないということだ。
レベニュー組織は企業の収益最大化を目的に設計されており、分業体制による運営・中間指標の管理は、あくまでアプローチ方法のひとつにすぎない。この点を誤解してしまうと、レベニュー組織の各部門がサイロ化し、部門間の対立やデータの分断、顧客体験および業務効率の低下を引き起こしてしまう。
営業・マーケティングといったひとつの部門のみで持続的な収益成長は実現できず、プロセスが分断されないオペレーションモデルを設計しなければならない。そのためにも、本書で解説されるRevOpsの方法論と、それを実践する役割(組織)を理解する必要がある。
RevOpsを構成する「4つの柱」
すでにアマゾンやグーグル、マイクロソフトをはじめ、グローバルでは多くの企業がRevOpsの方法論に注目し、その専門部門を組織化している。収益成長に責任を持ちレベニュー組織全体を統括するCRO(Chief Revenue Officer)のもと、RevOps組織は、マーケティングや営業と同等のポジションとしてレベニュープロセスのオペレーションを横軸で管理し、全体最適化を行う。
RevOpsはGTM戦略(Go-To-Market戦略、市場開拓戦略)の立案・実現を前提として、大きく4つの要素で構成される。
1.オペレーションマネジメント
プロセス設計・標準化により、レベニュープロセス全体の最適化と効率化を実現する。マーケティング、営業、カスタマーサクセスの流れの中で評価するべき中間指標やマイルストーンの定義、それらのプロセスをスムーズに動かすためのワークフローの設計なども行う。
2.レベニューイネーブルメント
レベニュー組織のフィールド部門(マーケティングや営業といった各部門の戦略・戦術を実行する役割)の能力を最大化して生産性を高め、顧客へ一貫したメッセージで価値を提供できるように、テクノロジー導入・活用支援やコンテンツ提供、トレーニング・育成、インセンティブ設計などを行う。
3.RevTechマネジメント
レベニュー組織が効果的に連携し、データ活用や業務効率化を実現するためのテクノロジーの導入、統合、維持管理を行う。
4.データマネジメント・インサイト
各部門や顧客から収集したデータを整理して一元管理し、フォーキャスト分析や顧客のヘルス管理など定量的/定性的な分析を行ってトレンドやパターンを見つけ出す。分析結果をレポート化してCROなど各関係者に提供し、データドリブンな意思決定をうながす。
本書では、これらの4つの機能を持つRevOps組織の設計や人材の獲得・育成、AI時代におけるRevOpsの重要性、『THE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス』(福田康隆 著、翔泳社)著者の福田氏をはじめとした有識者インタビューなど、さまざまな角度からRevOpsの方法論や役割を解説している。ぜひ本書を手に取り、グローバルの新たなトレンドである「RevOps」について理解を深めてほしい。
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