顧客が利用するまで「売上」が立たないコンサンプションモデル
高橋(才流) まずは読者の皆さんに向けて事業についてご説明いただけますか。
東條(Snowflake 社長) Snowflakeは2012年に創業したAIデータプラットフォームを提供する企業です。DXやデータドリブン経営に取り組む企業様に部門ごと、もしくは全社導入をいただくケースが増えています。最近では業界を横断したデータシェアリングに活用いただくこともありますね。AIの活用はもちろん、データの加工や他社との連携も強めています。
高橋 「データ」はまさに活用してこそ意味がある領域で、導入後に伴走支援を行うカスタマーサクセスマネージャー(CSM)が果たす役割も大きそうですが、Snowflakeさんでは、あえてカスタマーサクセス部を「廃止」されていますね。
東條 かつてはカスタマーサクセス組織やCSMが存在していましたが、前任のCEO・フランク・スルートマンが着任したときに組織をなくし、ずいぶん時間が経ちます。
そもそもSnowflakeには8つのCompany Valueがあり、そのひとつめが「PUT CUSTOMERS FIRST」。われわれのカスタマーファーストはお客様と向き合う営業やSEだけではなく、マーケティングや製品開発、オペレーション部門まで全社で「お客様のために自分たちは何ができるだろうと考えること」を指します。ほかのValueを体現するために、Customer Firstが土台になっているイメージです。
東條 当社では、カスタマーサクセス部という独立した部署は設けていません。その代わりに、営業担当者とセールスエンジニアを中心とした全社横断チームを編成し、お客様の購入前から購入後まで一貫してチームによる伴走をしています。プロフェッショナルサービスを提供する場合は、提案の段階からチームによるサポートが入ります。
加えて、我々のビジネスは「コンサンプションモデル」です。お客様とは年間のご契約を結びますが、それだけでは「売上」が立ちません。お客様がプロダクトを使っていただいたボリュームに応じて、売上が計上される会計処理のモデルです。営業のボーナスは顧客のプロダクト利用実績に連動しています。つまり、顧客にプロダクトを使ってもらって初めて、営業の成果が評価される仕組みとなっています。
サブスクリプションモデルと混同されることがありますが、サブスクは使用しなくても定額を払うものなので、その点が違いますね。
高橋 カスタマーファーストを組織で体現していくためにマネジメントの皆さんが意識されていることはありますか。
東條 先ほど紹介したValueを経営メンバーも非常に大切にしています。四半期ごとにベストプラクティスを振り返っていますね。たとえば、Valueのひとつである「THINK BIG」に関する良い事例をSlackに共有しているメンバーがいれば、その行動自体を称賛します。また、共有された事例がほかのメンバーの刺激となり、新たな事例の創出や共有につながることもあります。