エンタープライズセールスの「コーチ」として
──綾小路さんのこれまでのキャリアについて教えてください。
新卒で日本のSIerに営業として入社し、10年にわたり製造業向けITシステムを担当しました。プロダクトライフサイクル管理システムや高度シミュレーションシステムと格闘しているうちに青春が終わったと言っても過言ではありません(笑)。
次第に「より幅広い顧客の要望に応えたい」「自社開発のプロダクトをもつグローバル企業で働いてみたい」と考えるようになり、SAPジャパンに転職。たくさんの大手企業のお客様と出会い、エンタープライズ営業について学び続けた5年間でした。SAPでのご縁で、Box Japanでストラテジックセールスと営業企画に挑むことになったんです。そして2024年4月、日本の大手企業に革新をもたらす可能性を感じ、国内スタートアップであるテックタッチにジョインしました。
──他社支援を始めたのは、何かきっかけがあるのでしょうか。
Box Japanには第2の創業期コアメンバーとして入社したのですが、3年ほどエンタープライズセールスとして従事する中で、再現性がある営業の「型」が見えてきました。改良や検証を重ね、2020年2月にはセールスプランニングオフィスを立ち上げました。いわゆる営業企画部門ですね。そこでBox Japanの屋台骨であるエンタープライズセールス部門の営業戦略機能として始動したころ、ベンチャーキャピタルで働く知人から「出資しているSaaSスタートアップ企業の営業強化に力を貸してくれないか」と相談が。コロナ禍でテレワークが普及したこともあり、数社に対してアドバイスや意見交換をするようになったのが支援の始まりです。
その流れで、DNX Venturesの代表と出会い、2023年5月にSaaSスタートアップに投資を行うDNX Venturesアドバイザーに就任。セールスプランニングオフィスで培ったノウハウを活かし、アーリーステージのBtoBスタートアップへエンタープライズセールスの支援を開始したのです。
「アドバイザー」とは言いつつ、私も現在進行形でスタートアップであるテックタッチの経営に携わり、日々奮闘している最中です。その試行錯誤から生まれた知見やノウハウを共有することで、支援先企業が学びを得て、自社ならではの施策や文化を築き上げていく。そのための「コーチ」でありたいというマインドで支援に臨んでいます。