セールスイネーブルメントへの関心が高まるワケ
この2、3年で「セールスイネーブルメント」への認知度が高まり、各社の取り組みが共有されるようになってきました。「セールスイネーブルメントという言葉を知らない」と言われることが当たり前だった時代からは、大きく変化してきたと言えるでしょう。
私は、前職のセールスフォース・ジャパンという会社で5年ほど、社内のセールスイネーブルメントに関わっていました。数千名規模かつ、さまざまなタイプの営業組織に対して、多くの人を巻き込みながら、あらゆるセールスイネーブルメントの打ち手にチャレンジしてきた経験があります。現在所属しているナレッジワークでは、社内のセールスイネーブルメントに取り組みつつ、お客様の企業のセールスイネーブルメント促進に向けたコンサルティング支援も担っています。
セールスイネーブルメントの必要性が高まっている背景には、日本国内の顧客市場の変化や労働市場の変化があります。各組織には「環境変化に対応しながら、より少ない人数で分担して最大限の利益を上げる」ことが求められています。つまり、売上だけではなく「利益」を上げるための方法を考える必要に迫られているわけです。必要な取り組みを分解すると、次のような要素が考えられます。
- 営業が環境変化に耐えられるような仕組みをつくる
- 営業の人数を増やさずに成果を上げる
- 営業活動に関わる業務を分担して成果を上げる
セールスイネーブルメントはそれらを解決するためのひとつの手段となりえ、それが認知拡大や取り組みの増加につながっているのでしょう。実際に、セールスイネーブルメントに取り組むことで、組織は「営業効果の向上」「営業効率の向上」という成果を得られます。具体的な内容について、ナレッジワークでは次のように整理しています。
取り組みたいと考える企業が増える一方、セールスイネーブルメントのための「手段」も次から次へと出現しています。「自社は何から手をつけるべきか」という相談をよくいただくようになりました。そこでおすすめなのが、「自社の営業にどのような変化があるか」「自社の営業に変化が必要な要素(ファクター)は何か」を起点に打ち手を検討することです。
営業の変化を考えることは、価値を届けるお客様のことを考えることにもつながります。次のページから、「ソリューション営業への変革」を例に、「営業の変化」と「必要な要素」の考え方を整理していきましょう。