新たなプラットフォーム
「Zoom Revenue Accelerator」は何ができる?
昨今、営業を取り巻く環境は大きく変化した。営業リーダーと営業担当者、あるいは営業担当者と顧客のコミュニケーションも大きな変革を迎えている中で、現場の管理者や役員、経営者が抱える課題も大きい。
顧客とのリレーションシップの強化や、ビジョンや文化、組織づくりなどの観点で、どのような人材を育成し営業DXを推し進めていけば良いのか、悩みを口にする経営者や営業部門の役員、営業マネージャーは少なくないと下垣氏は語る。
このような組織課題の解決に寄与するのが、Zoomが2023年9月に発表した「Zoom Revenue Accelerator」だ。下垣氏が「売上を上げるためのプラットフォーム」と言い切るこの製品は、AIを活用した会話型インテリジェンス機能を備え、現場の営業担当者のパフォーマンスや生産性の向上から、営業リーダーの組織力の強化と人材育成やコーチング、さらに経営者の組織づくりやリソース計画の最適化まで支援する。
ZoomのAI活用により、EXとCXの向上を実現
Zoom Revenue Acceleratorがもたらす価値や提供する機能を解説する前に、まずはZoomが提供するプラットフォームの特徴について触れる必要がある。
下垣氏は「Zoomは単なる社内会議システムやビデオ会議システムではなく、“人とのつながり”を提供するコミュニケーションプラットフォームである」と強調したうえで、Zoomのプラットフォームの中核となる機能群について紹介した。これは、次の図の中央にある、チャットやミーティング、クラウド電話、スケジュール、メールなどの基本的な機能を指し、すべてZoomのプラットフォーム上で利用することができる。
そのうえでさらにインパクトをもたらすのが、生成AIアシスタントの「Zoom AI Companion」だ。この機能は、Zoomの有償ユーザーアカウントであれば追加料金なしで利用できる。下垣氏はデモを用いながら、Zoom AI Companionの活用例を挙げた。
「たとえば自分が遅れてミーティングに入った瞬間、今までの会話内容をAIが教えてくれます。そして自分がどのようなアクションをとる必要があるのかを助言します。さらに話した内容はすべて録音・録画され、スクリプトとしても残るため、議事録を書く手間も省けます。そして内容はポストイットに自動的に生成され、ボタンひとつでサマリーをチャットやメールに添付して送ることも可能です」(下垣氏)
これらはAIが自然に、かつ身近にサポートするように設計されており、Zoomがそばにあるだけで「生産性の向上」「人と人のつながりの強化」「顧客体験の向上」を実現できると下垣氏は言う。
また、自社独自のAIだけでなく、ChatGPTで知られるOpen AIをはじめとするさまざまなAIのプラットフォームともコラボレーションしている点も大きな特徴だ(=フェデレートアプローチ)。「“AI戦国時代”を迎えたときにどのシステムが勝ち残るかわかりませんが、お客様の投資が無駄にならない設計でAIを搭載できるようにしています」と下垣氏は説明した。
こうした緻密な設計が施されたプラットフォームにより、EX(従業員体験)とCX(顧客体験)が向上し、社内外のコラボレーションが推進されるという。今後は他システムとの連携機能をさらに拡充し、よりスムーズに業務を遂行できるようなデベロッパーエコシステムも構築していくと下垣氏は語った。
Zoom Revenue Acceleratorによる
これからの営業活動の変化
ここで下垣氏は「Zoom Revenue Acceleratorを活用することで組織は何を実現できるのか」という、本セッションのメインテーマについて解説した。
前述のとおり、Zoom Revenue AcceleratorはAIを搭載した会話型インテリジェントソフトウエアであり、営業チームのスキル向上と売上支援を行うプラットフォームだ。
たとえば営業担当者と顧客との会話をリアルタイムで分析し、データとして提供することで、自身のコミュニケーションスタイルを客観的に評価し、改善点を明確にできる。さらに、効果的な営業戦略やコミュニケーション方法までもAIが提案し、営業がスキルを向上させるためのオンボーディングも支援する。
また、Zoom Revenue Acceleratorは顧客との関係構築において、顧客のニーズや関心事をより深く理解し、カスタマイズされた提案を行う。AIによるインサイトを活用することで、営業担当者は顧客体験を向上させ、結果としてカスタマーサクセスのレベルを高め、長期的な関係を築くための基盤を強化できるというわけだ。
さらに、SFA/CRMなどの営業支援ツールとの連携も容易で、会話の知識をほかのツールに統合することでよりデータの活用を促進できる。
「AI時代の営業活動は、ひとつのツールだけでは難しいでしょう。他社のツールで作成したデータをどう利活用するか、マーケティングからのリードをどのようにフォローするかが大切です。SalesforceやHubSpotといった外部ツールと連携することで、売上支援を行うだけでなく、マーケティングリードの追跡や営業スキルの向上、オンボーディングの効率化に向けた支援も行います」(下垣氏)
続けて下垣氏は、具体的な機能についても紹介した。Zoom Revenue Acceleratorは営業活動の全体像を把握するためのダッシュボード機能「Manager Deal Board」を提供しており、営業担当者がどれだけの時間を顧客との会話に費やしているか、どのような内容の会話をしているかといった詳細な分析データによって、チームのパフォーマンスも可視化する。管理者はチームの活動をリアルタイムで把握し、適切な指導やサポートを行うことも可能だ。
また、営業チームのパフォーマンス向上に向けては、「Virtual Coach」機能が会話の内容をテキスト化し、トップパフォーマーの成功要因を分析する。蓄積されたノウハウをもとに、個人に合わせたフィードバックとコーチングが提供される。Virtual Coachを使えば、安全な環境で会話力を高めたり、さまざまなシナリオを想定したトレーニングを行ったりすることが可能となる。
そのほか、Zoom Revenue Acceleratorは自動翻訳機能を備えているのも特徴だ。この機能により、言語の壁を超えた営業活動や、新たな市場への進出もサポートする。
こうした多彩な機能を実装したZoom Revenue Acceleratorを活用することで、営業戦略の最適化とチーム全体のパフォーマンス向上が実現し、結果として組織全体の売上増加につながっていくというわけだ。
これらの機能は、2024年1月17日にオープンした「Zoom Experience Hub Tokyo」という体験センターにて学ぶことができる。Zoom Revenue Acceleratorの機能を実際に体験し、その効果を直接確認することで、これからの営業DXのあり方を具体化できる。
AI活用によって実現する「営業DXの未来」
AI時代における営業活動は、今まで可視化されてこなかったデータを可視化し、トップパフォーマーのサクセスストーリーをほかの営業担当者が身につけ、「会社の事業成長」をより高いレベルで実現していくことにある。可視化されたデータはチームに共有されて資源となり、ただトークスクリプトを読むだけの架電や、数を撃てば当たるという既存の営業活動からの脱却を可能にする。
Zoom Revenue Acceleratorが提供するデータ分析とインサイトの提供を通じて、より深い顧客理解やEX・CXの向上が実現し、営業の世界に根本的な革新がもたらされることになるだろう。
「営業DXが叫ばれる時代、現場の営業は会社に帰ってきたあとのシステム入力などの業務が増加しました。そんな中、お客様のエンゲージメントを向上させ、かつAIを活用し、営業自身が成長できるような機会があったでしょうか」と下垣氏は問いかける。Zoom Revenue Acceleratorによって、組織はより効率的な営業活動を行うことが可能になり、国境までも超えた新たなビジネスチャンスをつかむことができるだろう。そして個々の営業担当者のスキルとキャリアの成長も実現し、さらなる組織力の強化につながっていく。
「皆さんが毎日の営業活動でZoomを使い、電話やビデオ会議を録音・録画することにより、それらのデータがAIの素材になります。自分のスキルを上げ、チームのスキルを上げ、会社の業績を上げる──その大きな一歩を踏み出す助けになるのが、Zoom Revenue Acceleratorです」と下垣氏はセミナーを締め括った。
[4/12]AI活用×働き方の未来──Zoom Experience Day Spring開催
4月12日(金)渋谷ヒカリエホールにて、Zoom Experience Day Springの開催が決定! テーマは「AIの活用と働き方の未来」。詳細・登録はイベントサイトより。
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