「自社の価値」を正しく見出すフレームワークを紹介
営業が価値訴求を行うには、まず自社の商品・サービスの「価値」を正しく把握しなければならない。そこでソフトブレーンがコンサルティングをする際に使っているのが「特性価値検討法」だ。自社の有する特徴がどんなニーズに応えられて、どのような顧客体験をもたらすのかを考えるフレームである。使い方はシンプルで、「商品・サービスの特性」と「ユーザーのニーズ」を書き連ねて、このふたつが重なり合う「ユーザーにとっての価値」を見出す。たとえばUber Eatsをこのフレームに当てはめると、次の図のようになる。
Uber Eatsというサービスの特性は、多くの飲食店が加盟していて配達員も豊富であること。そして注文から支払いまでスマートフォンのアプリ上で完結できること。一方、ユーザーのニーズは、注文できる商品の幅を広げることや「このタイミングで配達をしてほしい」といった時間のコントロールが挙げられる。
特性とニーズの重なり合うところがUber Eatsの「価値」にあたる。お気に入りの料理をタップひとつで注文できる。配送状況をリアルタイムで把握でき、ライフスタイルに合わせて受け取り方法を選べるといった点だ。
川上氏は「類似サービスはありますが、もっとも台頭しているのはUber Eatsだと思います。この価値提供をいち早く行ったことで、結果的に皆に選ばれたのでは」と分析した。
ただ、このフレームワークだけでは自社の価値を見出しづらい場合もある。そこで川上氏はもうひとつの手段として「既存顧客に聞く」ことを推奨した。「なぜ我々を選んでくれたのですかと聞いてみてください」と川上氏。実際に、あるリフォーム会社が既存顧客にたずねたところ、「近かったから」という回答が圧倒的に多かったと言う。たしかに、その周辺にはほかにリフォーム会社がなかった。ここから「●●エリアのクチコミ満足度・リフォーム実績No.1」という価値を創出できたのだ。
そのほかにも「価値の源泉になるものはあふれている」と川上氏。商品そのものの価値や会社の価値はもちろん、会社・商品が有している情報や付帯するサービス、そして従業員、つまり人材の豊富さも価値につながる。「会社、商品、情報、サービス、人の5つの軸を中心に価値を検討すると良いのではないか」と提唱した。