カギは「自動化」 分析に集中できる環境を整えるべし
手が行き届きづらい分析までをしっかり完遂できるような脳型の営業企画とはどういったものなのか。髙橋氏によると、まずデータの収集などの作業は完全に自動化することで、本質的かつ脳的な業務であるデータ分析や現場とのコミュニケーションが活発になる。現場の1次情報に触れる機会も増え、より精度の高いターゲティングや着地見込み予測も可能になるのだという。
「あくまで心臓のポンプ機能、データ収集や加工・統合は自動化することがポイントです。それによって、市況を基にした分析や、売上が伸びている得意先の要因特定が可能になります」(髙橋氏)
では、心臓型の営業企画から脳型の営業企画へとシフトするにはどうすべきなのだろう。
よくある失敗が、とにかく分析をしなければと考えてBIツールなどを導入するパターンだ。「分析ができていない」のではなく、あくまで「分析する時間を捻出できていない」という課題を理解する必要がある。心臓を手動で動かしている限り、いくら高品質な脳を導入しても意味がないのだ。そのため、まずはデータの収集や加工・統合にメスを入れ、自動化や効率化を進める必要があると言えるだろう。
「見通し」の精度を高めるために必要なふたつの要素
さらに、これからの営業企画には、より会社の未来をクリアに見通し、着地見込みなどを精緻化していくことも求められる。どの領域にアタックするか。そして、どのような施策を打つか。このような戦略策定には、見通しの精度を高めることが不可欠だと髙橋氏は強調する。
「見通しの精度が高まれば、1年先の未来が見えている状態にもなります。継続的に利益を上げている企業は、この見通しを立てることに圧倒的に長けているケースがほとんどです」(髙橋氏)
見通しがクリアになれば、ターゲティングや投資判断が的確になる。最適な生産金額を基にコスト削減をすれば、商品価格に反映でき競合優位性にもつながるだろう。問題は、この精度をいかに高めるかだが、髙橋氏は見通しを「売上」と「原価」の2軸に分解して考えるべきだと解説する。
売上の見通し精度を高めるためには、さらに多く・細かくデータを集めることがポイントになる。たとえば、営業担当者が出す見通しデータを過去のものと比較し、差分を分析・把握していく。また、社内にいる見通し精度が高いメンバーのスタンスや行動を仕組み化し、横展開することも有効だ。そのうえで、データを集める頻度を増やせば、レビュー頻度も増えるため、PDCAサイクルも高速化するだろう。
原価の見通しでは、過去実績から予測することが有効だ。仕入れ先の原価確認を通したコストコントロールや原価部門の人件費のコントロールで、見通しの精度を高めていける。「過去3年の推移などを見ながら『今度はこうなりそうだよね』など、実績を基にファクトでコミュニケーションすることにより、確実に精度が変わっていくはずです」と髙橋氏。