乗り越えるべきふたつの課題とは
ただ、こうした取り組みは一種「青写真」のようなものでもあり、実際に取り組む際には課題も存在する。たとえば、営業企画側においてデータ収集業務がこれまで以上に煩雑になり、現場とのコミュニケーションが希薄になってしまうことだ。この点は、先述したような自動化を駆使した脳型の営業企画へシフトしていくことで、ある程度乗り越えられるだろう。
もうひとつの課題が、営業担当の負担が増えてしまうことだ。営業企画側が新たなシステムを導入してデータの収集から分析までを自動化しようとすると、営業側がこれまで行っていた業務フローを変える必要がある。
「現場はこれまでのデータ入力方法などを変えたくないと考えがちです。そのため、無理にシステムを導入してもなかなか入力をしてもらえず、かえってデータ収集が大変になったり、導入費用が無駄になったりするケースも多いのではないでしょうか」(髙橋氏)
そのため、営業企画としては「いかに現場の入力負荷を高めずにデータ集計を行う方法を導入するか」とともに、「属人化せずに誰でも容易にできること」、さらに「集めたデータを誰でも自由に分析できること」を念頭に置く必要がある。
現場負担を高めない効率的なデータ分析
なかなか難題であるように感じるが、こうした点を解消するのがログラスの提供する「Loglass 販売計画」だ。髙橋氏はLoglass 販売計画を「次世代の利益管理データベース」と表現し、次のように紹介する。
「Loglass 販売計画を使えば、これまで使っていたExcelなどのツールと同様の入力方式を維持したまま、現場の負荷を高めずにデータを収集・管理できます。また、収集したデータをクリック操作でかんたんに分析できることもメリットです。伸びている取引先と似ている商品構成や、同業界・同規模の取引先をグルーピングした比較分析も容易に行えます。
また、利益の最大化を考えるうえで重要なのが人員配置です。一般にデータを管理するシステムはマスタの組み換えが難しく、配置換えや組織変更をしたくても消極的な企業は多かったはずです。一方、Loglass 販売計画であれば、組織構造を変えた際のシミュレーションも可能です」(髙橋氏)
Loglass 販売計画の導入事例として、住商メタルワン鋼管のケースが紹介された。同社ではこれまで、国内外の拠点PLを管理している中で、組織変更がある際にはマスタメンテナンスに丸2日を要していた。また、経営陣から質問があった際、複数のファイルを確認する必要があり、コミュニケーションにタイムラグが生じていたという。
Loglass 販売計画の導入によって、長時間かかっていたマスタメンテナンスがわずか10分に短縮。データ集計から予実要因分析もスムーズに行えるようになった。「これまでデータ収集で生じる異常値や入力ミスの確認に追われていたが、分析に集中できる環境が実現できた」という声が上がっており、導入から3年近くが経過するが、肝心の利益も伸び続けている。
データ分析の重要性に気がつきつつも、まだまだ収集から加工・統合という前段階で止まっている企業も少なくないだろう。髙橋氏は持続的な利益成長にチャレンジする組織へのメッセージとして、「営業企画は“心臓”ではなく“脳”になること」「脳をフル活用するには“見通し”の精度を上げること」「なるべく変化なく、変化していくことが重要」という3点の重要性をあらためて強調し、セッションのまとめとした。