急成長の中で営業データの一元管理が不可欠に
宮田(SalesZine編集部) 営業のデータ活用にもさまざまなアプローチがありますが、中でも基盤となる顧客管理システム・営業支援システムの活用や導入に課題を抱える企業も多いでしょう。本日は業界や規模も違う2社をお招きし、それぞれの工夫についてうかがっていきます。両者ともSFAとしてSalesforceを活用されているとのことですが、導入のきっかけや抱えていた課題を教えてください。
藤田(日本M&Aセンター) 日本M&Aセンターは創業から30年と少しですが、急成長の麓である2014年のタイミングでSFAを導入しています。営業情報を入力するシステムはあったものの、組織拡大の中でデータ一元管理の必要性を感じていました。
導入以前は「M&A案件一覧」がなく、営業担当同士が会話して、記憶して、記憶をたどって提案するかたちでした。現在は案件一覧が生まれ、ニーズを登録しておくことで、データベースから検索したうえで売り手企業と、譲渡先の適切なマッチングができるようになりました。さらに過去データやAIの活用によって、ニーズに合致するものを優先的に表示することもできるようになっています。
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宮田 営業の方々が記憶をもとに進めていたのもすごいですね。
藤田 そうですね(笑)。ただ、10年前は案件も今より少なかったんです。10倍、20倍に案件が増えると、組織の中で聞いてみてもなかなか見つからないことが増えてきます。
宮田 中央電力さんのSFA導入のきっかけも教えてください。
南(中央電力) エネルギー関連の事業を行っており、電力の小売とマンションへの一括受電サービスをメインに展開しています。事業スピードを早めるために、Excelによるデータ集計や会議準備による時間のロスをなくそうという経営判断がありました。SFAの活用で、最新のデータをいつでも参照できるようにしようと考えたのが1点めの理由です。
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2016年に前職にてSalesforce導入に伴い、Salesforceの運用担当となりシステムを活用した業務改善、マーケティングに携わる。2020年より現職でデータの可視化や社内のシステム活用推進を行い、社内のDX人材育成も担当。
南 もうひとつの背景に、電力という商品の複雑さがあります。受注から電力を提供するまでには、さまざまな部門が関わります。営業だけでなく、工事を担当する部門や、コールセンターでもお客様の最新の状況を理解するためにも、データの一元化が必要でした。
宮田 ありがとうございます。急成長、そして組織全体での一元管理の必要性という部分が共通されていますね。おふたりがSFAの担当に抜擢された理由もうかがえますか。
南 中央電力では私の入社前から導入は進んでおり、前職でもSFA活用の経験があった私が、活用促進を担当する人材として入社した経緯があります。
藤田 日本M&Aセンターも導入が決まっている状態で、新卒3~4年めの私が担当としてアサインされました。ITスキルもなければ、営業プロセスへの理解もなく、「理系出身だから」くらいの気持ちで選ばれた気がします(笑)。ただ、取り組んでみると楽しく、向いていたのか10年間担当してこれました。
南 わかります。私も前職のときは、藤田さんと同様に経験がない中のチャレンジでしたが、取り組んでみると楽しかったです。