野球のプロを諦め営業のプロへ
──まず、島田さんのこれまでのキャリアについて伺えますか。
島田 新卒で専門商社に入社し、主に販売促進に関する法人営業を行っていました。3~4年めにはトップの成績を達成し、コンフォートゾーンにいる感覚が生じたんです。組織のトップラインを伸ばそうとさまざまな努力をしましたが、なかなか機会に恵まれず……。それならSaaSセールスとして物ではなく「価値を売る」営業になろうと転職を決断しました。
そこで、物流業界向けのクラウドサービスを提供する会社に転職し、営業プレイヤーとマネジメントの両方を経験しました。マネジメントの失敗という苦い経験も経ながら、チームメンバーが受注したときの喜びも感じて。マネジメントへのこだわりを持ったまま、新しいステージに進もうと転職活動をしたときに向き合ってくれたのが今のカミナシだったんです。
向井 その上昇志向の強さには驚きます。
島田 プロ野球選手を目指していたことが背景にあると思います。高校も大学も野球推薦で進学していて、大学では選抜で選ばれてプロと試合をしたこともありました。ただ、創部したての地方大学で、知名度も低く、上のステージに進むことができなかったため、プロへの道は諦め、営業のプロになろうと。
向井 そこでなぜ営業?(笑)
島田 情報系学部出身だったのでエンジニアを目指して就活を始めたのですが、ある最終面接で「人柄的にも営業が向いていますよ」と言われて、自分自身も腑に落ちたんです。人とコミュニケーションをとるのも好きでしたし、営業で何とか食っていきたいという思いが生まれましたね。
──「マネジメントの失敗もあった」とおっしゃいましたが、向井さんと出会ったときは、どのような課題を抱えていたのでしょうか。
島田 カミナシでAM(アソシエイトマネージャー:マネージャーの一歩前の職種)に就任したのをきっかけに、メンターとして向井さんに2週間に1回の1on1の時間をもらって「マネージャーとは何か」から教えてもらいました。
向井 僕自身も当時大学院で営業を研究していて、結果を出し続ける営業マネージャーの共通点に、「理想のマネージャー像を持つ」ことがあるなとわかっていたんです。だからその話をしたのだと思います。
島田 前職では理想のマネージャー像を持っていなかったゆえに、自分のやり方を理想としてそれを押しつけてしまった。それが失敗の原因だったと気づきました。
向井 優秀なプレイヤーがマネージャーになることは多く、それぞれ求められる能力が違うことは理解されているものの、何がどう違うのかわからない方は多いのではないかと。マネージャーはプレイヤーの延長ではない。営業マネージャーは一度足を止めて、プレーヤーとマネージャーがどう違うのか考えると良いと思います。
島田 原体験として「メンバーが受注したことが嬉しかったから、そういう体験をもっと増やしたい」という思いもありました。それを向井さんに伝えたところ、そのためには「営業メンバー」としてではなく「人」として向き合うことが重要だという話をされて。そういう発想はなかったので、目からウロコでした。