●ソフトウェア開発業界の方から
当社は3年前に設立したソフトウェアのオフショア開発企業です。紹介からの既存企業の仕事をもらっていたのですが、新規顧客を開拓したく、実践しています。 現在、フォーム営業ではなかなかアポがとれず、次の一手に困っています。また、ビジネスマッチングサイトを契約しましたが、あまり質の良い開発案件はなさそうです。 ざっくりした質問で恐縮ですが、向井さんでしたら次の一手をどのように考えますか?
まずは、「商売の話ができるまでのステップ」を考える
フォーム営業やビジネスマッチングサイトなど、いきなり手段の話から始まってしまっているように思うので、まずはそこから一緒に見直していきましょう。
私ならまずは、「ソフトウェアのオフショア開発のお客様とは誰か」を決めます。カスタマージャーニーマップと呼ばれるツールもありますが、お客様にとっての最初のゴールは、自社に開発を委託すること。そして本当のゴールは、そのソフトウェアによって、お客様の企業の何かが良くなることです。その視点で付き合いのないお客様が契約に至るまで、どのようなステップを経るか、これを売り手の立場抜きで考えてみましょう。
次に必要なのが自社の価値の話。自社にしかできないことはなにか、これはマーケティングの第一歩として、明確に言語化する必要があります。
それをもとにいわゆるBtoBマーケティングで行われているお客様に関心を持ってもらうためのウェビナーやホワイトペーパーの企画が実現できるはず。ただ、その際に留意してほしいのは、それで接点を持つことができた見込み客の人たちはあくまでそのウェビナーや資料に興味を持ってくれた人だということ。展示会も同様ですが、「その企業に興味がある」状態ではまだなく、はっきり言えば「企業やソリューションには興味がない」レベルの状態だと理解しておくと良いと思います。
多くの人は、「興味がないなら興味を持ってもらえば良い」と考えると思うのですが、実はそれだと一足飛びになってるんです。どちらかと言うと、「コンテンツに興味を持っただけで、その企業には興味は持っていないのに連絡がきたな……」とややマイナスの感情からスタートしている状態で、「嫌いではない」に持っていくのが最初のステップです。
少しずつ感情を変えてもらう行動がいわゆる「リードナーチャリング」にあたります。MAなどのツールを活用すれば、見込み客の反応がどう変化しているかデジタル上でスコアリングできるようになりました。安価なツールも多いので、まずはこのようなソリューションには投資すると良いと思います。
ウェビナーに何回も参加してくれている、メールを必ず開封してくれているなど、好ましい振る舞いをしてくれている見込み客が特定できて初めて、アプローチを行うに至ります。たとえば「最近、よく見てくださっていると思うのですが、気になったトピックや、解消したい疑問ってありますか?」と問いかけると、嫌いではない状態になっていれば、「実は来年度に向けて上から○○な目標が落ちてきたので、ここが気になっていて……」と回答してくれるはず。「お役に立てるポイントがあるかもしれません」と初回ミーティングが設定できます。
「フォームやメルマガ経由で売り物に興味を持ってもらおう」と結論を急ぐから、見込み客が離れてしまうというのはぜひ覚えておいてほしくて。商売の話ができそうなタイミングで、適切なアクションをとりましょう。