環境変化に適応できる強い組織の8つの風土
図1は、環境変化に適応できる強い組織に求められる8つの風土を表しています。環境変化に適応して成長し続ける強い組織は、これらすべてのバランスがとれています。
強い組織の柱となるのは「目的の共有」と「場の安心・信頼」です。その柱を軸に、変わらず重要な要件が左側の3つの風土「業績の追求」「やり抜く意欲」「個人の成長の追求」です。そして、昨今の環境変化に適応し営業の介在価値をアップデートしていくために今後重要性が増す要件が、右側の3つの風土「お客さま価値の追求」「変革への意欲」「組織の成長の追求」です。「強い営業組織をつくるためのマネジメントの役割」は、言い換えると、これら8つをバランス良く確立した組織をつくることだと言えます。
次のように、それぞれの状態について補足しておきます。
強い組織の柱 「目的の共有」「場の安心・信頼」
「目的の共有」:組織の目指す姿が明らかになっている、共有すべき価値観や行動指針が浸透している、注力すべき重要テーマなどが明確になっているなど、組織のベクトルがひとつとなっている状態を指します。
「場の安心・信頼」:組織のメンバー同士が互いに関心を持ち、活発なコミュニケーションが行われている、言いづらいことでも言える心理的安全性が確保できている状態を指します。
「業績」と「お客さま価値」の同時追求
「業績」の追求:組織メンバー全員が最後まで目標達成にこだわり、やりきっている、個人目標だけでなく、組織目標達成にも強いこだわりを持っている状態です。
「お客さま価値の追求」:お客さま価値の向上に向けた創意・工夫に日常的に取り組んでいる、お客さま価値の向上を巡る会話が組織で日常的に行われている状態を指します。
「やり抜く意欲」と「変革への意欲」の同時追求
「やり抜く意欲」:規律やルールが、徹底的に遵守されている、決定したことが、すばやく実行されている、一度始めたことは、結論が出るまでやり切っているなどの状態です。
「変革への意欲」:新しいやり方、創意・工夫を試みることが奨励されている、世の中の動き、お客さまの声、新しいやり方を積極的に収集している、従来の踏襲に留まらず、新たな仕事に挑戦している状態を指します。
「個人の成長」と「組織の成長」の同時追求
「個人の成長」の追求:組織メンバーが人材育成の重要性を理解し、成長にコミットしている、体系的な教育体系が整っている、育成のPDCAが回っているなどの状態です。
「組織の成長」の追求:良い取り組みや、失敗事例がタイムリーに共有され、互いの学びになっている、困っていることがあれば周囲に気軽に相談できる関係ができている、上下の関係を超え、フラットなアイデア出しが日常的に行われているなどの状態を指します。
では、8つの風土の左右を両立させるマネジメント、組織づくりにはどう取り組めば良いのでしょうか。