事業展開で膨れ上がったデータの集計・分析を一元化
「データ活用基盤」という言葉からは、技術基盤やツールが想起されるかもしれない。本セッションで扱うデータ活用基盤は、セールスやマーケティング、カスタマーサクセスといった各チームの業務効率を飛躍的に高めるデータやツール群の総称であり、「このデータ活用基盤が、各業務に紐づいていることがもっとも重要」だと兵氏は語った。
リコーがグローバル展開しているのが、空間全体を360°撮影できるカメラ「RICOH THETA」だ。2020年からは、RICOH THETAで撮影した360°画像を扱える「RICOH360」のクラウドサービスを日本・フランス・北米の3拠点をメインに展開。RICOH THETAとクラウドのサブスクリプションサービス、このふたつを掛け合わせることで、業界横断型の360°プラットフォームを提供している。
たとえば不動産の場合、物件の間取り図と360°画像を合わせてクラウドにアップロードすることでバーチャルツアーを作成し、ユーザーはあたかも仮想空間を歩いているような感覚で物件内の写真を閲覧することができる。
2020年にRICOH360サービスをグローバルローンチした後、翌年には4万件のユーザー登録、1,300万件のバーチャルツアー作成、3億枚以上の360°画像登録(国内サービス含む)を達成した。これらの360°画像やツアーの閲覧数、クラウドサービスの各種機能を利用した回数など、事業を通して蓄積された「利用状況データ」等をもとに、各チームの業務を後押ししているのがリコーのデータドリブンチームだ。
RICOH360サービスがグローバルローンチした2020年当時のリコーでは、データ基盤や活用基盤はもちろん、ツール類も、データを扱う専門の人材も存在しなかった。契約数や解約数、国別契約件数などのデータは各チームが各自のロジックで集計していたため、共通のデータを持たずに業務を行っていた。
データ活用基盤とデータドリブンチームの構築後に、集計作業・集計ロジックを一元化したことで、共通のデータをもとに各チームの施策や判断を実施できるようになった。また、ユーザーの利用状況、データ解析によるホットリードなど手が回っていなかったデータにも目を向けられるようになり、セールスはアクションすべきホットリードを容易に識別できるようになったという。