属人化からの脱却で、環境要因・事業成長に適応
宮田(SalesZine) 本日は、データドリブン改革に着手したきっかけや取り組みの中での壁、転換点となった出来事、顧客体験との向き合い方についてうかがわせてください。まずは自己紹介をお願いします。
富家(コニカミノルタジャパン) コニカミノルタジャパンでサービス事業のマーケティングを統括しております富家です。マーケティング事業部内でインサイドセールスとも連携しながら、営業プロセス改革とマーケティング組織の立ち上げというプロジェクトに4年以上前から取り組んでおります。
中瀬(LegalForce) LegalForceで営業マーケティング戦略部の部長を務めております中瀬です。2019年11月にカスタマーサクセスの責任者としてLegalForceに入社しました。2022年4月からは営業・マーケティング戦略部の責任者として、まさに今回のテーマであるようなデータドリブンな組織づくりに取り組んでいます。
宮田 コニカミノルタさんがデータドリブンに取り組み始めたのは、2017年ごろでしたね。なぜそのような改革に着手したのでしょうか。
富家 コニカミノルタジャパンのメイン事業は複合機です。印刷枚数に応じて料金をいただくビジネスモデルですが、ここ数年で紙での印刷が減少したことで、売上や利益も下がりました。そのため営業1人ひとりの生産性を上げる必要が生じ、データドリブンへの改革がスタートしました。
まずThe Model型の営業体制を構築し、2017年にはSalesforceを全社導入しました。Salesforceにマーケティングの施策、リード、商談内容、受注内容、コストなどを紐づけ、営業組織のマネジメントの強化を図ったのです。そのひとつがパイプラインマネジメント、いわゆる見込み管理です。
パイプラインマネジメントでは商談をフェーズごとに分類し、金額と確度を入力します。たとえば提案金額が100万円で確度が10%の場合、10万円の見込み金額として算出されます。こうして見込み金額の予測精度を高め、これまで属人的に行われていた営業管理をデータドリブンに変革しました。
宮田 コニカミノルタジャパンという歴史ある企業では、環境変化に対応していく中でこうした取り組みに着手した一方、LegalForceさんは現在6期目です。どのようなタイミングでデータドリブンに取り組み始めたのでしょうか。
中瀬 コニカミノルタさんと同じくThe Model型の分業体制で運営していましたが、事業や人員が拡大したことで業務プロセスが複雑化し、効率的に導入社数を拡大する必要が生じました。手始めに受注率や受注単価・リードタイム等のデータを分析し、営業組織を顧客の規模ごとにさらに3つに編成したのですが、運用開始後に営業担当による顧客理解の不足が明らかになります。
その中で、各セグメントの顧客解像度を高めるためには、顧客へのアプローチ方法や受注率・受注単価といったデータの収集・分析、それらを実行するための営業プロセス構築が必要となり、属人的な営業活動では限界があったため、データドリブン組織への改革がスタートしました。
宮田 スタートアップでは早い段階からデータドリブンに取り組んでいる印象があります。一方で、事業の成長に伴い新たな課題が生じ、それらの課題を解決するために改革に着手する必要があったのですね。