下から数えたほうが早い新入社員だった
――2021年、新卒で入社したエン・ジャパンで取締役に就任された岩﨑さんですが、入社後すぐに頭角を現されたのでしょうか。
入社してすぐに大活躍……と言いたいところですが、実はそうではなく、入社した2003年の配属発表時にいきなり挫折しました。いまや海外拠点を含め3,000名以上が在籍する当社ですが、当時は社員が60名程度しかおらず、そこに60名の新卒が入社したのです。
配属発表はマネージャーが新入社員の前に並び、自分のチームに配属する新入社員を発表する方式でした。学生時代から自分に自信がありましたから、「すぐ呼ばれちゃうかな」と思ったのですが、まったく呼ばれない(笑)。結局、最後のマネージャーが配属メンバーを発表し終わっても、自分の名前は呼ばれませんでした。
「あれ? 配属先がない? どういうこと?」と受け止めきれていない状態で、社長から「残ったメンバーだけで、まだアプローチできていない千葉や埼玉、西東京のマーケットを開拓するミッションを担ってほしい」とさらなる衝撃発表が。最初は受け止めきれなかったですし、ほかの優秀な新卒メンバーが主要エリアに配属されていたため、自分は期待されておらず下から数えたほうが早いメンバーなのだと自覚しました。
悔しさをバネにそこからはとにかく成果にこだわって仕事に打ち込みました。新卒メンバーだけの組織の特徴である「直属の上司がいないこと」をポジティブに捉え、「アポイント獲得ならこの人」「業界知識ならこの人」と社内のさまざまな先輩に自ら質問をしに行き、良いところを真似していきました。大事にしていたのは「期待以上の成果」を出すことです。給与をもらうというのは、ある種プロ契約ですから、目標を達成するのは当たり前です。与えられた仕事をするだけでは面白くないですし、「競合の案件を超える」「同期ではなくいちばん売れている先輩をベンチマークする」など、チャレンジングな目標を自分で決めることを意識していました。
――顧客と接する中では営業としてどのようなことを学ばれましたか。
「対等なパートナであるべき」という点を学びました。最初は、顧客の事業内容などを深く知らなくてはいけないのではないか、と思い込み過ぎていて提案に自信を持てずにいました。その自信のなさは顧客にも伝わり、提案に納得いただけない。そんな日々が続く中で、「顧客より企業の内情に詳しくなれるわけがない。でも、人事・採用という専門領域の知見をつけることはできる。ここで顧客と対等に話せるようになろう」と気持ちを切り替えました。
自分が顧客に提供できる価値がわかってからは、自信を持って提案ができるようになりました。顧客からも信頼され、営業成果もついてきました。求人広告は、「先にお金をいただく」ビジネスです。だからこそ、「この営業に任せても大丈夫」という安心感が大事なのだと気がつくことができました。