成約率向上、店舗ごとの成果のばらつき解消にも
――RaySheetの活用によって、具体的にどのような成果を得られたのでしょうか。
今回RaySheetを採用したリフォーム事業では大幅に業務フローを変えました。これまでは店舗での受付後、見積もり作成や検討状況のお伺い、契約、発注、工事の管理、お支払いまですべてを店舗メンバーが担当していました。このプロセスを分解・分業化し、受付から後の一連の業務を本部に集中させるフローに変えました。そのフローに沿ってSalesforceでシステム開発を進めた結果、店舗側はお客様対応にフォーカスできるようになりました。もちろん見積もり作成業務をセンター化した分、本部での作業量は増えるわけですが、RaySheetを活用することによって大量の見積もり依頼を効率的に捌くことができています。
この取り組みによる最大の効果は、店舗業務の負荷を軽減したこと以上に、店舗ごとのパフォーマンスのばらつきを解消できた点にあると考えています。以前から、大型店にはリフォーム専門の担当者がいる一方、規模の小さな店舗のメンバーはマルチタスクでいろんな業務をやっているため、見積もり件数や成約率などを大型店と比べるとパフォーマンスが上がっていないという課題がありました。こうした状況から店舗の業務を再定義し、それに合わせたシステムを開発したことで、リフォームビジネスの再構築が進んでいます。実際に小さな店舗ほど、成約率アップの効果も出てきていますね。
そのほかにも、見積もり作成を請け負う本部に負荷がかかるという新たな課題も出てきました。これも、今後Salesforceを活用してシステム的にサポートしていきたいと考えています。
――オペレーションを強くするために今後、RaySheetに期待するアップデートはありますか。
強いて言えば、Excelの機能が常に進化しているため、それになるべく追従してもらえると嬉しいですね。現状の機能だけでも、Salesforceのリストビューではできないフィルタや並べ替え機能、ビューのフォルダ管理、権限管理などを行うことができ、とても助かっています。
営業がコア業務に集中できる強いオペレーションを
――ウィズコロナの時代におけるカインズの今後のチャレンジについてお聞かせください。
リアルな接触を減らしていこうとする一方で、コミュニケーションの量や質は維持しなければならないわけですが、それを補完するのがテクノロジーだと思っています。カインズのデジタル戦略には「ストレスフリー」「エモーショナル」「パーソナライズ」「コミュニティ」の4つの目的があるのですが、特にお客様とのコミュニケーションを短時間で効率的に行っていくための機能開発は今後ますます重要になるでしょう。
同時に、カインズメンバーにとっての煩わしい業務を剥ぎ取り、デジタルで改善していくことも重要だと考えています。デジタル戦略本部は現在もリモート業務を推進していますが、全社的な働き方の改革は今後も進めていく予定です。
チャレンジという観点では、お客様のコミュニティ化も進めています。たとえばDIYが好きな方やペットオーナーのコミュニティの構築はすでに取り組み始めていますが、こうしたBtoCのお客様のコミュニティだけではなく、BtoBのお取引先で働いている方々とも、何か新しいことができないかなと考えているところです。
――最後に、営業組織で強いオペレーションづくりに挑むリーダーにメッセージをお願いします。
オペレーションがしっかりしていないと、営業活動をするメンバーにも無駄な作業が生まれてしまいます。たとえば何かをするために、一度本部に戻らないとといけないとか、データをまとめて共有するためにさまざまなツールを経由しないといけないといった典型的な課題はデジタルの力で効率化できる部分だと思います。その効率化を実現して、営業担当者がコアな業務に集中できる環境をつくるのがこれからのリーダーの役割ではないでしょうか。
また、営業組織には必ず営業管理の部門があると思うのですが、その部門の方々が遅くまで残業をしていたり、営業担当者の要望に応えるために大きな業務負荷がかかっていたりするのもよく見られる光景だと思います。組織を支えるメンバーの業務を効率化させることが、ひいては営業担当者の働きやすさにもつながると思いますから、ぜひデジタルの力で効率化を実現していただきたいですね。
――今後の取り組みも楽しみです。ありがとうございました!