「深入りしない」も立派なケアのひとつ
個人の性格によるところもありますが、先ほどの2つのポイントを配慮することでコミュニケーションをとりやすく、仕事もスムーズに進めることができる場合が多いです。また、本人が生理やつわりなどの理由を明かさずに「体調不良」として有給を取得するケースもあるため、深入りしないことも一種の「ケア」と位置づけられるでしょう。
「女性は採用してもすぐに辞めてしまう」などと言われたのは今も昔。総務省が実施した令和元年の「労働力調査」によると、令和元年の女性の労働力人口は3,058万人。前年と比較して44万人増加していることが明らかになりました。全体の53.3%の女性が働いているという数値です。
女性の心身面のケアだけではなく、キャリアや生き方に多様性があることを認識いただくことも重要ではないかと思います。大まかではありますが、現代の働き方においては【仕事の程度(バリキャリ・ゆるキャリ・専業主夫/主夫)】×【既婚or未婚】×【子ありor子なし】と全部で12通りの選択肢があります。
この「多様化な働き方」は男性にも当てはまるものの、女性のケースでは、仮に出産をする場合には、子どもを出産するまでの妊娠期間・出産後に「物理的な身体の負担」が避けられない点は留意していただきたいです。
女性をとりまくキャリアや生き方に配慮したマネジメントは非常に大切です。営業の女性の場合は、まだまだ男性社会が根強い環境も少なくなく、「ロールモデルが身近にいない」ケースもあるかもしれません。しかし、女性に限らず、誰もが働きやすい環境が整備されていることは社員全員にとってのメリットになりますし、企業全体の価値向上につながります。裏を返せば、性別や年齢で区切り、能力を過小評価したり、マネジメントを放棄したりすることは、男女問わず優秀な人材の流出につながります。
本稿が「女性とともに働く」ことに対して、一度立ち止まって考えるきっかけとなれば嬉しいです。