「違う職種に転職したい」営業職の女性は半数超え
「ライフステージが変わっても働き続けたい」――そう語る女性は私の身の回りに大勢いますし、私自身もそのひとりです。女性の場合、家族のサポートがあったとしても、妊娠・出産で身体的な負担が増え、「このまま今の職場で働き続けることができるのだろうか」と考える機会も多いのではないでしょうか。親や家族の介護という点では、性別を問わず同様の不安を抱える方も少なくないかと思います。
また、「同じ職種で働き続けたいか?」という観点では、キャリアデザインセンターが2020年に実施した調査によると、「違う職種に転職したい」と回答した女性は、全職種で参照すると33.7%であったのに対して、営業職の女性は53.4%と、19.7%もの差が生じていました。
私はリクルートで営業職を10年間経験し、現在在籍しているニットでも営業として入社しました。リクルートやニットでは女性営業の存在は決して珍しくないものの、世間的には「営業職=男性社会」のイメージがまだまだ根強く残っているように感じます。理由のひとつに、コロナ禍以前は訪問型営業が中心であったために、営業職として働くうえでは「体力」が求められていた点も挙げられるのではないかと思います。その点、定期的に訪れる身体の不調と毎月付き合うことが求められる女性は、営業以外の職種に転職することで、無理のない働き方を実現したいと考える方が多くなる傾向があるのかもしれません。
実際に、同調査で「違う職種に転職したい」と回答した方にその理由を尋ねると、「長く続けられそうな職種に転職したい」が38.9%ともっとも多く、約4割の女性が「長期的に働くことができる環境」を求めている様子がうかがえました。
先ほどの調査で、営業職の女性は他の職種と比較して「違う職種への転職を希望する傾向にある」ことが明らかになりました。その点に関して、私は「非常にもったいない」と感じています。
インセンティブ報酬管理システムを提供する外資系企業のXactlyが2019年に実施した調査によると、「営業ノルマを達成できた人の割合」は、男性が78%、女性は86%だったそうです。同調査では、女性の営業社員が男性以上の高い成果を上げているケースが多い、と記されていました。
私自身、新入社員からベテラン社員まで数多くのメンバーをマネジメントをしてきましたが、営業成績を大きく伸ばすメンバーや、土壇場の負けず嫌い根性を発揮して成果を残すメンバーに男女差はありませんでした。職種転換に悩む傾向のある女性営業にとって「安心して、長く働ける環境づくり」に取り組むことは、本人だけでなく、企業側にもメリットがあるのではないかと考えています。
マネージャー時代、多くのメンバーとコミュニケーションをとる中で「対女性」特有の配慮の必要性を学びました。次のページでは、管理職や営業マネージャーの方に向けて、対女性のマネジメントにおいて私が留意しているポイントを2点ご紹介します。