SalesZine編集部が制作した調査資料『Sales Tech市場と営業組織のテクノロジー活用 最新動向調査2021』では、営業組織や関連組織に所属する読者1,130名にアンケートを実施し、結果をまとめて掲載しています。
今回はその中から、導入している営業支援ツールの種類、導入済みツールの活用状況、導入を検討しているツール、新しい営業スタイルの導入状況と貢献度を紹介します。また、営業支援ツールと新しい営業スタイルについての不満・課題の自由回答も取り上げます。
アンケートからは各社の営業組織で何が課題となっているのか、リアルな状況を把握することができます。自社と照らし合わせることで、課題をあらかじめケアできるように役立てていただければ幸いです。
回答者のプロフィール
最初に、回答者のプロフィールについて簡単に解説します。
年代は「40代」がもっとも多い33.9%、「20代」がもっとも少ない10.7%となりました。
業種は「情報・通信」がもっともも多い38.9%に。「広告(7.3%)」「流通・小売(5%)」「精密機器・事務用品(4.7%)」「エネルギー・素材・機械(4.1%)」が続きます。
役職は「一般社員」が28.1%と最多ですが、「マネージャークラス(部長、課長)」の27.3%、「リーダークラス(係長、主任)」の22.9%と同程度となっています。
回答者が所属する企業の年間売上高は「10億円以上100億円未満」が23.5%、約4割が100億円以上の規模です。また、ビジネス形態はBtoCが24.2%、BtoBが75.8%となりました。
導入している営業支援ツール、最多はSFA/CRM
まず、導入している営業支援ツールについて尋ねました。もっとも多かったのは「SFA/CRM」で49.5%と突出。次いで、「名刺管理ツール(36.4%)」「契約・請求管理(33.7%)」「オンライン商談システム(31.9%)」「BI(ビジネスインテリジェンス)・分析ツール(28.4%)」となりました。
活用できているツールはオンライン商談システムと契約・請求管理
導入済みツールの活用度合いは、「活用が社内に浸透している」の回答がもっとも多かったのは「オンライン商談システム」の54.4%。次に「契約・請求管理」の52.5%でした。「MA」「ターゲティングツール」「BI・分析ツール」「セールス・イネーブルメントツール」は「まだ活用が浸透していない」と「まったく浸透していない」の合計が25%前後と回答の中では高い水準となっています。
導入している営業支援ツール全般についての不満・課題について自由回答で尋ねたところ、以下が寄せられました(一部抜粋)。
現場における定着・活用
- 関心を持って自分の活動に活用しようとしている人としない人の差が激しく、活用しようとしている人の不満が募りつつある(上からの指示は「入力するように」というもののみ)
- 導入したツールを使わない、使えない社員がいる
- 日報、アクティビティ管理にしか使えていない。予実績に使えないとあまり意味がない
データ管理・活用への課題
- SFAが管理ツールとしてのみの使用にとどまっており、営業戦略やマーケティング戦略に活かせていない
- SFAのデータは営業側のデータは、あくまで自己報告なので、もっと客観的なデータがあればといつも思う
- 企業規模があまりに大きく、複数MA、SFAの導入といったことが部門ごとに進んでおり、データがバラバラに管理されている
価格関連
- 費用が高いこと
- 高機能なMAツールは価格的に中小企業レベルでは手を出しにくい。また、ツールの性質上トライアルなどでは成果が見込めるかどうかの判断が難しい。そのため機能制限をしたフリー版があると良いかもしれない
- 事業が小規模なので有料のツールを使うほどではないが、無料のでは足りないもしくは存在しないケースがある。低価格・小規模のツールがなかなかない
システム設計に関するもの
- 自社開発のSFAを使っているが、やや思想も設計も古い。次期システムは具体化されていると聞いている
- レガシーシステムと連携できていない
その他
- 対面での営業活動がなくなったので名刺交換をする機会がなくなった。そのため名刺管理ツールによる、相手の異動や退職を管理できなくなった
- 現場に決裁権が無いので、いちいち「お伺い」を立てて進めなければならず、スピード感がない
導入を検討しているツールはBI・分析ツールが最多
今後導入を検討しているツールを尋ねたところ、もっとも多かったのは「BI・分析ツール」の12.7%となりました。ですが、「導入を検討しているものはない」が52.7%と圧倒的に多く、すでに導入済みだったり、今以上にツールを増やす必要がなかったりする現状が推測できます。
新しい営業スタイル・手法の導入について
近年、営業活動には新しいスタイルや手法が続々と登場し、活用が始まっています。その中でも特にインサイドセールス、カスタマーサクセス、マーケティング部門(の独立した組織化)は注目度が高く、導入を検討している企業も少なくありません。
アンケートではこれら3つの手法について導入状況とそれぞれの売上貢献度を尋ねました。
導入状況はいずれも内製・外注・検討中を合わせて40%前後となっていますが、「導入予定はない」「わからない」が50%を超えており、新しい営業スタイルや手法の浸透にはまだ時間がかかりそうです。
しかし、インサイドセールス、カスタマーサクセス、マーケティング部門を導入している企業ではそれぞれの売上への貢献度が非常に高く、「貢献している」「一部貢献している」の合計がいずれも80%以上になりました。成果は着実に得られていることがうかがえます。
最後に、導入している営業手法に関する不満・課題についての自由回答を紹介します。
手法/戦略について
- 数字は見えるが、手法は見えない
- 組織や予算のあり方が30年来の考え方から変わっていない
- システム等、新しいサービスがどんどん出てくるが、詳細やそれぞれのメリット/デメリットがきちんと把握できていないために具体的な検討にまで至らないこと。また初期投資額が大きいと導入に大きな障害となるため、初期費用が抑制できる点で制約がかかってしまうこと
- インサイドセールスに集まるデータの集約がまだまだ発展途上
- 金額や手法含めて多様であり型が無い
- 経営のプロフェッショナルが不在。人事異動や昇進により現在のポストに収まっている職員が大半を占め、公募して採用した職員もバックグラウンドや社風の違いから、最善の方針や方策を策定できない
- マーケティングと営業の連携の仕方についての考え方が一面的なため、商談推進の実態にあわせた連携方法を検討していく必要がある
商材/ターゲット企業の広さ
- 全社組織としてのデマンドセンターができてからまだ1年程度。これからだと思う。今の社長はよくわかっているしそこに注力しているので、時間の問題だと思っている。販売するものの範囲が広く口座数も多いので、営業がリードを発見するのは難しいので、必然だと思う
- ターゲット企業の規模が大きすぎて、商談件数が目標に届かない。顧客営業とソリューション営業の分断によってダイレクトアプローチができない
『Sales Tech市場と営業組織のテクノロジー活用 最新動向調査2021』とは?
営業組織の抱える課題やテクノロジーの導入・活用の状況など1,100名以上が回答したアンケートをまとめた調査資料の決定版!
- 1章 働き方の変化とテクノロジーの浸透
- 2章 Sales Tech市場動向
- 3章 単純集計
- 4章 クロス集計
- A 巻末付録(2章引用元)