人員の削減や売上減少――改革のきっかけは?
SalesZine編集部 宮田 自己紹介からお願いします。
ウイングアーク1st 久我 ウイングアークに新卒入社し法人営業としてキャリアをスタートしています。営業のマネジメント経験や企画職、事業部門を経て営業責任者となり、現在はマーケティング担当の執行役員を務めています。我々はソフトウェア事業を20年以上行っており、開発・販売からサポートまでを自社で担っている会社で、この分野だとわりと老舗ですね。2013年ごろからクラウドサービスも展開しています。
ソフトバンク 杉本 もともと、日本テレコムに入社して営業を経験し、非対面営業の仕組みを社内で構築しました。ソフトバンクに買収されてからもアポイントをとるためのコールセンターの立ち上げを経験しています。その実績や人を動かす力が買われ、2018年から当社のインサイドセールスの立ち上げを担当しています。ベテランのシニア営業と少ない人数で数多くの中堅・中小企業にいかにアプローチしていくかというチャレンジを1年3ヵ月ほどしてきてちょっと答えが見えてきたので、この場で共有させていただければと思っています。
Sansan 加藤 当社は創業13年めのベンチャーで、私は創業1年後くらいからジョインしています。当時、営業は私を含めてふたりだけでした。SMB向けからエンタープライズ向けにまで営業組織を変革、展開してきたプロセスが、みなさんへのヒントになればと思っています。
宮田 営業改革のきっかけも三者三様ですよね。まずは抱えていた課題を教えていただけますか。
杉本 ソフトバンクは2018年12月に上場したのですが、その直前の決算報告会で会長の孫が「既存の通信事業の人員4割を、これから成長する新規事業へシフトする」と発表しました。担当する顧客企業数は変わらぬまま人が減っていくので、仕事の仕方を変えなくてはならないという課題がありました。さらに新たな戦略商材も増えたので、それらの販売も行いながら成長のエンジンとなるような顧客基盤をつくる必要がありました。
久我 売上はずっと伸びてきていたのですが、2012年ごろ「新規販売(営業組織のミッション)」が右肩下がりになった時期がありました。同時期に営業組織の既存メンバーが3分の1くらい退職し、かなり厳しい状況に陥ったのです。SFA導入はすでにしていたのですが、全然活用できていなかったため、このタイミングで徹底的にSFAを活用しデータで会話をするような仕組みづくりに取り組みました。それから3年後、全営業部が予算達成し業績も安定し、現在も順調に推移しています。
宮田 Sansanさんの場合は、必ずしも現状に課題を抱えていたという状況ではなかったのでしょうか。
加藤 Sansanの営業組織における文化や考え方は、サッカーをしているときの状態に近いです。改革というよりは、「戦略が変わるのでフォーメーションを変える」くらいの感覚で組織を変化させてきました。かなり細かくチューニングはしていて「相手は南米だから個人技の強い奴をフロントに行かせよう」とか「相手はシステマチックなサッカーをするからロジカルな奴を真ん中に置こう」くらいに明確なイメージを持って変化させています。前提にあるのは「ビジョンをどう実現させ、高い目標を達成し続けるのか」ということ。常に現状に満足せず、より良くするにはどう変化すべきかという哲学のもと動いています。