初回商談時の3つの距離
第1回では初回訪問に対して平等に期待している顧客へ準備をパターン化する重要性を説いた。第2回では標準化したふたつのポイントに分けて聞くと自然にスラスラ聞けると説明した。
さあいよいよ初回訪問をするぞ!どんなテクニックがあるの聞かせてほしい!と第3回目に期待している皆さんには申し訳ないが、初回訪問前に整理しておきたい最後の話が残っている。こんな営業はいないだろうか?「初回訪問でうまく説明できず、2回目以降に進めたり、進めなかったり……」と初回訪問の結果にバラツキがある営業だ。そんなときは「3つの距離と3つの感覚」を理解して訪問に臨んでほしい。初回訪問では非常に効果的な手法であり、2 回目以降へと進み、案件を増やすことができる。このやり方を身につけて、早期に成果を出してみよう。
まず商談には3つの距離があると言われている。3つの距離をアタマに入れるか入れないかで、初回訪問の戦い方がまったく変わってくると言ってもいい。
3つの距離
(1)公共距離
顧客が15名から30名以上集まるようなちょっとしたセミナーぐらいの商談イメージだ。初回訪問では少ないケースだが、私はけっこう経験がある。ホールのような会場に初回から40名も集まったのが最高記録だ。その顧客は弊社製品・サービスに期待値が高く、最初からみんなで聞いて考えてみよう!という狙いで集まっていただいた。しかしどちらかというと大型プレゼンやセミナーで体験することのほうが多い距離だろう。公共距離では、顧客との距離は遠く、説明資料はプロジェクターに投影、声はマイク、たくさんの視点が説明している営業に注がれている。
(2)社会距離
顧客は6名から12名ぐらいで、少し大きな会議室に集まって説明を聞いているイメージだ。製品・サービスのジャンルによってはこれぐらいの人が初回訪問から集まることはよくあるし、最終プレゼンでは鉄板のシーンだ。社会距離では、顧客との距離はやや遠く、説明資料はプロジェクターか液晶画面に投影、声は地声で話している。前方に座って話している営業、または立って説明している営業を顧客は見ている。
(3)私的距離
顧客は1名から5名ぐらいで商談机に営業と向き合って座っているイメージだ。顧客との距離は机越し、説明資料は紙の資料か液晶画面、声は目の前なのですぐに届く。営業が1名、顧客1~2名の初回訪問シーンは皆さんもよく経験するパターンだろう。友人同士や恋人同士で話すときの距離もこのような私的距離だと言われている。
これらの距離の分類について「パーソナルスペース」の文脈で皆さんも聞いたことがあるかもしれない。「公共距離」「社会距離」「私的距離」に、さらに3つの感覚を加え、初回訪問について整理していきたいと思う。