いまのやり方を変えたいと考える企業にフィットした
――まずはインターコムさんの事業内容と、上林さんが担当されている業務について教えてください。
1982年の創業以来、「通信のインターコム」として「まいと~く」「FALCON」「Biware」など、数々のヒット商品を生み出してきました。現在は「通信」「リモートソリューション」「運用管理」「働き方改革」の4つの事業テーマで企業向けソフトウェアの企画・開発・販売を行っています。メガバンクなど金融機関で多数の導入実績を誇るリモートソリューションの「RemoteOperator」をはじめ、働き方改革ソリューション「MaLion」など、当社の新たな柱となる商品はすべてクラウドサービスで提供しています。
私たちのチームはRemoteOperatorシリーズと呼ばれる画面共有ソリューションの拡販を担当しています。金融業界に特化し た「RemoteOperator Enterprise」、営業向けの「RemoteOperator Sales」、サポート向け の「RemoteOperator Helpdesk」など、業界・業務別に3つのラインナップを揃えており、いずれも非対面の相手と端末画面を共有しながら営業活動や顧客サポートを行うことができるものです。
もともと、遠隔地にある無人サーバーのメンテナンスや、PCのハード・ソフトの保守をリモートコントロールできる製品を扱っていたのですが、あえてリモートコントロール機能を搭載しないソフトのニーズを受け「RemoteOperator Enterprise」をリリースし、メガバンクなど金融業界でご評価いただき導入が広がっています。また、金融業界では当初サポート業務に活用されていましたが、アウトバウンドの業務でも活用されるようになったことから、営業活動に特化した「RemoteOperator Sales」をリ ースするに至りました。
――導入企業はインサイドセールスにどう取り組んでいますか?
インサイドセールス自体の定義がさまざまなので、提案からクローズまで一貫して訪問せずに進められる企業様もいれば、フィールドセールスに案件をパスする役割としてインサイドセールスが機能している企業様もいます。いずれにせよ「いまのやり方を変えていきたい」という先進的な考えをお持ちの企業様に「RemoteOperator Sales」を使っていただいています。
確度の低い新規顧客に嫌がられないアプローチ
――基本的な操作について教えてください。
電話で会話をしながら相手に接続の案内を行います。営業側が「ルーム」を作成すると接続番号が生成されるので、その番号をお客様がブラウザで入力するだけで接続は完了です。お客様側は事前のアプリインストールや設定なしに利用できます。接続後は、対面で営業しているときのように共有した資料をめくりながら会話ができたり、テキストボードで相互にメモをとったりしながら会話を進めていきます。接続中は相手が画面を非表示にしていないか、送付した資料をダウンロードしたかどうかがわかるようになっています。また、カメラを使用すればお互いに顔が見えるので、電話だけでは難しかったアイスブレイクも自然に行うことができます。
営業資料以外にも、ウェブサービスやアプリのデモを共有する企業様もいらっしゃいます。たとえば、「サービスの評価版をわざわざインストールするのはちょっと……」という先方に対して、営業が自分の端末上で評価版を開き、動きやインターフェースを画面共有で見せることができます。逆に、評価版をインストールした先方がつまずいてしまったときは画面を通して営業がサポートできますし、導入に向けて上長を一緒に説得することもできます。
営業する側としては、移動コストがかからないのでコスト削減にもなります。また、訪問日程の調整などのタイムラグなくお客様をすぐにフォローできること、全国の案件にいつでも対応できることなども導入企業に評価されている点です。対面時と大差ないほど密なコミュニケーションをとることができつつ、接続時間は長くても30~40分で対面営業に比べて商談時間がコンパクトになったという声もいただいています。
――インサイドセールスの盛り上がりに伴い、各社がオンライン商談ツールを提供し始めていますが、「RemoteOperator Sales」の特徴はどこにありますか?
弊社はこれまでの開発実績を生かして、アプリとしても機能を提供しているので、PC、タブレット、スマホなどデバイスを問わずに画面共有できる点が競合製品にはない優位性だと考えています。営業ツールや業務アプリがタブレット上にある場合も画面共有で相手に見せることも可能となり、さまざまな営業スタイルに対応できます。
また、既存のウェブ会議システムの場合はスピーカーやマイク、カメラなどのセッティングや会議室の確保など、提案をする側と受ける側の双方にかかる準備の負担が大きいですよね。ましてや関係性の構築できていない新規顧客や、資料請求をしただけで情報収集段階のお客様に、いきなり「ウェブ会議システムを準備してください」とお願いしても、そんな手間のかかる作業は、当然受け入れてもらえません。「RemoteOperator Sales」の場合は電話とブラウザを閲覧できる環境があれば始められるので、気軽に利用することができます。
――1ライセンス1万円という価格帯も魅力のひとつかもしれませんね。
そうですね。インサイドセールスチームは新しく組織されたところが多く、数十万円の稟議はハードルが高いと感じるそうですが、1ライセンス1万円は試しに使いやすいとユーザーから喜んでいただけています。
――殺風景な画面をイメージしていたのですが、意外と先進的なデザインで驚きました。
UIやデザインにはこだわっています。初期のデザインはもっと淡白な感じでしたが、弊社の営業がお客様からいただいたフィードバックをもとに、機能はシンプルながら温かみのあるデザインにリニューアルしました。
導入企業が感じた効果 今後は外部連携にも着手
――「RemoteOperator Sales」の効果として、どんな声が活用企業から寄せられていますか?
移動時間が削減されたことで対応できる案件が増加するなど営業活動の効率化ができたという導入企業様は多いです。さらに、これまで限界があった電話でのコミュニケーションで、1歩踏み込んだ会話ができるようになったという声もいただいています。アポをとった1週間後に会うのではなく、「このあと15分良いですか?」という無駄のない商談ができるのも利点で、導入後に非対面営業での成約率が2倍になったユーザー様もいらっしゃいました。また、移動時間が全体的に減ったことにより、確度の高い提案先やお付き合いのある顧客への訪問に十分な時間を充てることができるという効果も伺っています。
提案から見積もり作成までトータル約1ヵ月かかっていた営業活動に「RemoteOperater Sales」を使うことで、電話で興味を持ってくれた顧客とそのまま資料などを共有することができ、見積もりの作成まで早ければ1日で完結させることができているというユーザー事例もあります。
――導入企業はどういうキーワードや課題をきっかけに御社を見つけて問い合わせるのでしょうか?
最初の頃は「働き方改革」という課題から「RemoteOperator Sales」にたどり着く方が多かったです。最近は「インサイドセールス」や「営業の質の均一化、標準化」というキーワードが増えてきました。訪問営業の場合、商談中の会話がブラックボックス化しがちですが、インサイドセールスの場合は上長が近くで会話を聞けたり、独り立ち前の新人の横に先輩が付いて商談を行えたりするので、教育にも有効です。
――最後に、上林さんが今後チャレンジされたいことを教えてください。
モノ売りではなくコト売りとして、お客様の業務に寄り添ったつくりで「RemoteOperator Sales」の定着化を図り、継続して使っていただけるようにしたいです。具体的には他社製品との機能連携に着手したいと考えています。たとえば、普段使っているツールやシステムとの親和性が高いとユーザーに定着しやすくなると思うので、そのあたりに取り組んでいく予定です。加えて、お客様から寄せられる声は開発チームに共有し、機能改善も積極的に行なっていくつもりです。良い意味での未完成品としてベストを追求し続けたいですね。
個人的には顧客側が足を運ばなければならないBtoCの業種や営業シーンにもニーズがあると考えているので、提案の幅を広げていきたいです。