ラフールは立正大学心理学部と産学連携し、同社が提供する「ラフールサーベイ」にて収集された従業員の回答データに基づいて緊急事態宣言前後における従業員のストレス状況の変化を分析した研究結果を2021年11月に開催される「第34回日本健康心理学会」で発表する。
高ストレス者は緊急事態宣言発出後に増加
緊急事態宣言発出前後の高ストレス者の増加有無を探る項目では、宣言前は931人(対象従業員数の19.04%)、宣言後は1,041人(対象従業員数の21.28%)と宣言後の高ストレス者の増加傾向がうかがえる結果に。
緊急事態宣言前後を比較してストレス状況にどのような変化が見られたかを探る項目では、「職場の一体感」「職場のハラスメント」を除くすべての指標で得点が低下していた。緊急事態宣言後には、活動の制限やそれにともなう業績への影響などから、全体的なストレス状況が悪化している可能性が示唆された。
また、緊急事態宣言前後を比較して勤務形態によるストレスへの影響に違いは見られるかを探る設問では、出社している従業員(77名)は各指標が悪化していた一方で、テレワークを実施している従業員(358名)は複数の指標の得点が上昇していた。テレワークを実施している従業員は上司との関係が良好になるなど、コロナ禍においてストレスが改善している様子がうかがえる結果に。
総括
- 新型コロナウイルス感染症の拡大によって、従業員のストレス状況は悪化
- 感染者数や病床利用率は都市部とそれ以外では大きな違いがあり、行動制限の程度も異なっていたはずであるが、地域によるストレス状況の変化の差はわずかであった
- 勤務形態によってストレス状況に大きな違いが見られ、テレワーク勤務ではストレス状態が改善。ただし、テレワークの導入しやすさは業種によって異なると考えられる
- 新型コロナウイルス感染症による経営状態の変化、仕事量の変化、勤務形態の変化などは業種などによって異なることが推察されるため、今後は業種などの複数の属性を考慮したうえで、データの収集・分析が必要であると考えられる
調査概要
- 対象企業・事業所数:121
- 対象従業員数:4,890名(女性:2,071名、男性,2,819名)
- 平均年齢:38.86歳
- 平均勤続年数:7.43年
- 実施時期:2019年11月〜2021年4月
- 調査内容:職業性ストレス簡易調査票57項目+新職業性ストレス簡易調査票の推奨尺度63項目