Marketo Sales Connectを攻めのアプローチで活用
――MSCを導入した理由は3つあると聞いています。最初のメールの行動履歴の可視化についてはマーケティングオートメーションであるMarketo Engageで可能ではありませんか(図3)。
もちろんナーチャリングで顕在化している見込み顧客に対して電話をかけるというフローを実施できていたので、その可視化はできていました。ただインサイドセールスとしてはもう少し効率的で、セールス寄りの攻めのアプローチの必要性を感じていました。一斉配信でメールを送った中からのアプローチではなく、Aさんが今日かけるコールリストが40件あったとしたら、朝いちばんにMSCからメールを送り、開封を確認してから電話をするアプローチを実践したいと考えたのです。
――マーケティングからだけではなく、インサイドセールスからもメールを送り、効率的にアプローチするということですね。
はい。また、インサイドセールスチームは育成の場という特徴もあり、人事異動が頻繁にあります。今月いた人が来月に違う部署へ異動していることも珍しくありません。導入の2つめの理由として「Salesforceの活動履歴に同期」を挙げていますが、各インサイドセールスが顧客へどうアプローチしたかという活動履歴を残す必要がありMSCではそれが可能でした。
メンバー視点で優れている点をもうひとつ挙げると、管理画面に入らなくてもテンプレートの選択やメール配信ができることですね。新しいメンバーが入ってきてもツール操作で混乱することなく、Gmail上ですぐに使うことができます。
――MSC導入にあたり、メールアプローチを強化したことがわかりました。効果を高めるためにどんな施策を検討したのでしょうか。
MSCはコンタクト率を高めるためのツールだと思います。私たちのターゲット顧客は企業の営業責任者・営業メンバーですが、その人につながる時間帯に電話をかけることが商談化にはとても重要です。というのは、営業担当者は日中にオフィスにいないからです。いても数時間程度。もっとも電話がつながるゴールデンタイムは朝いちばんと夕方(17:30〜18:30)の帰社するタイミングです。非ゴールデンタイムにいかにコンタクト率を上げる工夫ができるかが勝負の分かれめになるわけで、電話前に開封を確認することは重要です。Marketo Engageからでも開封確認はできますが、MSCのほうがより早く確認できますし、配信前に効果的なテンプレートの検証ができることも便利です。
コンタクト率とメール工数で成果
――コンタクト率を高めるという課題にMSCで対応していることがわかりました。導入と活用はどんなプロセスで進めたのでしょうか。
プロセスの要点は、新しいもの好きでテクノロジー活用が得意な人をオーナーにしたことです。そのオーナーがプロジェクトリーダーとなり、リードステータスに合わせたメールテンプレートを用意し、e-bookやセミナーから流入している特定リードの検証から始めました。テンプレートはオーナーが作ります。2・3パターンで運用してもっとも効果が高いものを選び、改善を加えるプロセスを繰り返していきました(図4)。
――MSCを導入して得られた具体的な成果について教えて下さい。
成果は大きくふたつあります。
- コールコンタクト率の改善:時間帯を最適化しても30%だったものが40%に改善
- メール工数の削減:1通ずつ送信していたため、毎月10時間かかっていたのが毎月0.4時間にまで短縮
このふたつの成果を得たことで、当時のインサイドチームメンバー4人で、新しく84件の商談化を実現できました。メール工数削減で電話の数が増え、良いサイクルが回り始めたと考えています。
――メールのテンプレート共有と可視化を進めると、ハイパフォーマーとローパフォーマーが見えるようになりませんか。
会社方針としては全員をハイパフォーマーにすることを重視しています。MSC導入でコンタクト率が改善しましたが、実はGmailを使うだけでもコンタクト率を高めることはできるのです。先ほど導入前のコンタクト率が30%という話をしましたが、メールをまったく使わないと15〜20%に低下します。そのぐらいメールを使うか使わないで差が出るのです。
電話営業の経験があっても営業としての「メールノウハウ」がある人はそんなに多くないのです。そのためまず、営業にメールを活用してもらう意味から理解してもらう必要があるんです。MSCで可視化したが効果があれば、それを見せて「すでにトークはうまいので、メールを伸ばせばもっとアポがとれる」と説明することができます。インサイドセールスだからといって、電話だけでいいとは考えていません。電話とメールどちらも大事で、もっとメールの比率を高めても良いと思っているぐらいです。