AI時代における不動産営業の“付加価値”とは
近年では直近の成約事例、近隣エリアの相場、過去10年分の売買データなど、不動産の購入判断に役立つロジックや数字が豊富にそろってきました。AIやデジタルツールの発展により営業の一部業務は自動化され、業務の効率化が着実に進んでいます。
私たちパートナーズもDXを推進し、AIによる業務の自動化やデータベースの活用、顧客管理システム(CRM)の導入などに積極的に取り組んでいます。これにより事務処理の時間が短縮され、より本質的な業務に集中できる環境が整いつつあります。
営業の教育(研修制度)に関しても、テクノロジーと人を融合し、営業が本当に向き合うべき仕事に集中できる環境を整えています。たとえば教育動画ツールの活用やAIロールプレイングなど、意欲あるメンバーがいつでも学べる仕組みを構築。人にしかできない領域を厳選して、それ以外はテクノロジーを活用する動きを進めています。
加えて、営業を介さずに売却が完結できる仕組みも整えています。しかし、これは“営業不要論”を実現するためのものではなく、むしろ営業を“人にしかできない価値提供”に集中させるもの。そのために業務の一部を再設計しているのです。

AIの活用が進む一方で、私は「営業が不要になる時代は来ない」と確信しています。テクノロジーがどれだけ発展しても、人の心を動かし、意思決定を後押しする役割は人にしかできないからです。
たとえば、AIは家族構成や収入といった膨大なデータを分析し、公平かつ最適な提案を導き出すことができます。一方で「昨日、子どもと公園で将来の夢を語り合ったことがきっかけで、不動産を売ろうと考えた」といったお客様の細やかな感情の変化に寄り添い、お客様にとって本当にベストな提案をすることとはできません。
これからの営業職は、論理的な課題解決力に加えて人間力や熱意、高いコミュニケーションスキルを身に着け、お客様の課題を深く理解し、より高度な“課題解決者”へシフトすることが求められます。AIの力を駆使しながら、人にしか提供できない価値を生み出せる営業こそが、これからの時代において付加価値を発揮できるでしょう。