バーチャレクスグループのバーチャレクス・コンサルティング(以下、バーチャレクス)は「カスタマーサクセス日本市場動向&実態調査」を実施し、2025年版第5弾の結果を取りまとめた。

カスタマーサクセス導入・運用にあたっての課題

効果実感層(n=494)のうち、もっとも多かった課題は「何から手をつけたらいいのか分からない/マニュアルがない」で46%となった。続いて「人材・組織体制が不十分」が28.1%、「上層部の理解不足」が27.7%という結果になった。

一方、効果未実感層(n=345)では、「特にない」が46.4%でトップとなった。続いて「何から手をつけたらいいのか分からない」が32.5%という結果になった。

「現在解決すべく取り組んでいる課題」を質問すると、効果実感層では「特にない」が37%でもっとも多く、すでに初期的課題を克服し、導入・運用の基礎を整えた企業が多いと考えられる。一方で「経営層/上層部の理解が得られない」が25.9%、「人材・組織体制が不十分」が22.5%など、より組織的・戦略的な課題が浮上していることがわかった。

効果未実感層では「特にない」が48.1%でもっとも多く、課題認識が薄いまま施策を続けている可能性が高いと推察される。また、「人材・組織体制が不十分」が24.6%、「経営層/上層部の理解が得られない」が22.9%など、組織面の課題は効果実感層と類似しているにもかかわらず、解決が進んでいないことが成果低迷の一因となっているようである。
さらに、「KPI/KGI設定が難しい」「ツール導入費用がかかる」「顧客のセグメント化が難しい」など基礎的な運用体制の整備段階での課題が多く、施策の軸となる指標設定や顧客データ活用が十分に機能せず、結果として「効果を感じられない」状況が続いていると考えられる。
カスタマーサクセス運用課題解決のための取り組み

これまで挙がったカスタマーサクセスの導入・運用上の課題について、実際にどのような対策を取ったのか、どんな取り組みを行ったかを確認した。
まず「過去に取り組んだことがあるもの」を見ると、効果実感層では「外部専門家に依頼/相談」が46%となり、さらに「日本語・外国語の書籍やオンライン記事の情報収集」「セミナーや勉強会への参加」「オンラインコミュニティへの参加」など、複数のチャネルを活用して知見を得ようとする姿勢が見られた。加えて「人材育成プログラムの作成」や「評価基準/制度の見直し」など、組織内部での施策も積極的に進められている様子がうかがえた。

一方、効果未実感層では「特になし」が51%で過半数となり、「外部専門家への依頼」21.2%や「セミナー・勉強会への参加」14.2%といった具体的行動の比率が低い点が目立つ。

「現在取り組んでいること」を見ると、効果実感層では「日本語の書籍やオンラインの記事を読んで情報を収集」が35.8%、「セミナーや勉強会に参加」が23.7%、「外国語の書籍やオンラインの記事を読んで情報を収集」が23.5%など、外部情報を積極的に吸収する割合が高くなった。すでに一定の成功を収めている企業の中には「特になし(これ以上必要なものはない)」と回答するところもある一方、海外事例や外国語情報を取り入れるなど、さらなる高度化を図る動きも見られた。

一方、効果未実感層では「特になし」が48.7%で約半数を占め、ほかの具体的な取り組みのもほとんどが2割以下となった。
【調査実施概要】
「2025年カスタマーサクセス日本市場動向&実態調査」
調査方法:インターネットアンケート
調査実施期間:2025年2月21日~2月26日
対象地域:全国
対象者:20歳から65歳の有職者(契約社員、派遣社員、パート・アルバイト、個人事業主・フリーランス、専業主婦・主夫、家事手伝い、学生を除く)6万4,138人