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SalesZine Day(セールスジン・デイ)とは、テクノロジーで営業組織を支援するウェブマガジン「SalesZine」が主催するイベントです。 丸1日を通してSales Techのトレンドや最新事例を効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

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to be ONE TEAM ともに「売上」をつくるマーケティングとセールス

2024年10月16日(水)13:00~17:35

常に高い売上目標を達成し続けなければいけない営業組織。先行きの見通しが立たない時代においても成果を挙げるためには、過去の経験にとらわれず、柔軟に顧客や時代に合わせて変化し続けなければなりません。変化に必要なのは、継続的な学びであり、新たなテクノロジーや新たな営業の仕組みは営業組織の変化を助け、支えてくれるものであるはずです。SalesZine編集部が企画する講座を集めた「SalesZine Academy(セールスジン アカデミー)」は、新しい営業組織をつくり、けん引する人材を育てるお手伝いをします。

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ソリューション営業への変革を セールスイネーブルメントのきほん

年間の戦い方を共有し、アカウントプランを運用せよ! エンタープライズセールスを支えるイネーブルメント

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大手企業深耕に必須のアカウントプラン、案件推進の具体施策

作成しただけのアカウントプランになっていないか?

 大手企業深耕を考えるうえで必要なのがアカウントプランです。アカウントプランは言い換えると、顧客を成功させるための営業活動の地図と言い換えられます。アカウントプランでは顧客を成功に導くためのストーリーが描かれていることが重要です。ストーリーを考える上では、大きく4つの構成で語れることが重要です。

  • 理想状態:営業と顧客はどこのゴールを目指すべきか?
  • 優先事項:顧客にとっての優先テーマは何か?
  • 関連人物:優先事項に対する関係者は誰か?
  • 活動計画:アクションプランとして誰が何を進めるべきか?

 これらは、営業が一方的につくって提示するものではなく、お客様との対話や得られた情報を通じて、繰り返しブラッシュアップしていくものになります。 アカウントプランで網羅すべき項目は、一般的に次のようになります。

  • 理想状態:営業と顧客はどこのゴールを目指すべきか?

 →顧客の現状、顧客のビジネス目標、顧客の理想など

  • 優先事項:顧客にとっての優先テーマは何か?

 →顧客の戦略、顧客の抱える課題、顧客の優先課題、営業としての販売機会など

  • 関連人物:優先事項に対する関係者は誰か?

 →顧客の組織図、相関図など

  • 活動計画:アクションプランとして誰が何を進めるべきか?

 →販売計画や営業活動計画、社内関係者への依頼や実行計画など

 アカウントプランは組織として「何を」網羅すべきかを決定し、フォーマットを統一して進めることが有効です。フォーマット化によって、フレームワークが統一されますし、営業組織の学習の観点でもほかのアカウントプランを参照できることは、間接的に営業組織の生産性向上にもつながります。営業組織が運用できるボリュームを加味して決定します。

 また、「どのように」運用すべきかを決定する必要があります。アカウントプランは多くの営業組織がチャレンジするものの「作成の指示が出ただけで、作成が進まない」「作成したがそれっきりになっている」「営業マネージャーが営業活動のレビューの中でアカウントプランについて言及しない」というような状況に陥りがちです。

  • 作成する顧客対象
  • 作成する期日(時期)
  • 確認する頻度
  • 確認する会議体

 どれも基本的なことですが、これらを決定して運用することが必要です。アカウントプランはいわば「顧客に向けた営業の意志」になりますので、営業組織内のレビューミーティングは、必ずアカウントプランを開いて行うなど、組織として運用する意志を持ち、アカウントプランを営業活動に活用していくことが重要です。

顧客への価値を最大化するために必要な「課題設定」

 アカウントプランで準備した営業活動の地図をもとに、今度は案件を創ります。アカウントベースでの営業活動では、1社からの取引を大きくすることが営業としての年間予算の達成につながるだけでなく、お客様へより価値を提供することにもつながります。案件を大きく創るには、提案内容のボリュームを多くする以前に、課題設定を大きくすることが重要です。お客様と合意する設定課題を大きくすることが、ソリューションを大きくすることにもつながります。

 課題設定を行う手段としては、ヒアリングなどの顧客との口頭コミュニケーションだけではなく、課題を議論するための次のようなツールを準備することも有効です。

  • ビッグピクチャー:

 顧客個社の将来像を含んだ仮説提案を絵姿にまとめた資料。

 顧客の理想(Why)、変革テーマ(What)、解決ソリューション(How)を仮説提案として資料1~2枚にまとめます。作成には当然深い顧客理解が必要です。

  • ディスカッションペーパー:

 自社の貢献可能領域/周辺領域に関する特定テーマをまとめた資料。

 特定の変革テーマ、よくある課題、解決策等を数枚程度の資料にまとめ、顧客との議論に活用します。

→例:営業DX

 どちらも「顧客の理想や課題を引き出す」ための営業ツールです。ヒアリングだけだと出てこない新たな課題認識を、資料を用いることにより顧客と設定していくきっかけをつくることができます。

 一方で、商材によっては自社ソリューションを一定のパッケージにする手段も有効です。「何の商材を提案すべきか?」「何を組み合わせるべきか?」を営業組織として標準化することで、案件の大きさを担保することにもつながります。こちらも基本的には考え方は同じで、以下の要素を汎用提案パッケージとしてまとめます。

 変革テーマごとにソリューションパッケージのラインナップを組織として拡充することで、営業担当者の提案活動を支援することができます。

  • Why:顧客に価値提供できる変革テーマ(例:従業員コミュニケーション体験の向上)
  • What:顧客の抱える課題/よくある課題(例:リモート業務環境の改善、透明性高い社内コミュニケーション環境の構築)
  • How:解決策と自社のソリューション/商材構成など(例:チャットツール、ウェブ会議ツール等を活用したユースケース)

 顧客の課題設定を大きく握ることや、個人の力量に依存せずに大きく提案できるように、セールスイネーブルメント施策として環境を整えていくことが可能です。これらを営業組織が活用しやすくするために、営業ツールやナレッジとして体系的に整備したり、勉強会や研修などで実践方法を浸透させていったりすることも後押しするイネーブルメント施策も必要です。

ストーリーのある「相関図」で案件を推進する

 案件をつくったあとも、しっかりと推進していく必要があります。大手企業に向けた案件推進では、顧客内の複数の検討関係者と進めていく難しさがあります。顧客内の関係者を把握すること、関係者との相関を把握することが重要です。そのうえで個社ごとに相関図を作成することも有効です。

 お客様の組織図を書くことにとどまらず、人物同士の関係性や自社との関係性、プロジェクトに対する姿勢など、「誰とどのように」進めていくかをストーリー立てて設計していきます。

【例:相関図】

 相関図自体も、フォーマットや表現、運用などを設計することで営業組織の生産性向上につながります(広義では相関図についてもアカウントプランの中に組み込むケースもあります)。

 以上、セールスイネーブルメントを通じて、営業組織の戦略変化を仕組みで支えていく手段の一部についてご紹介いたしました。顧客ターゲットの変化という変数ひとつからも、営業担当者に求められる行動は複数発生します。それらに合わせて、営業活動全般の戦い方、案件の創り方や進め方というそれぞれの観点でさまざまなイネーブルメントの打ち手を取り得ることがおわかりいただけたのではないでしょうか。

 セールスイネーブルメント施策に取り組むこと自体が、営業組織にとって新しいチャレンジになるため、ただ幅広く取り組めば良いというわけではありません。組織として優先順位をつけ、運用される施策を1つひとつ着実に進めていくことを強くおすすめします。運用されて施策による効果実感を少しでも得られること、イネーブルメントでの小さな成功体験が生まれることが、さらなる営業変革へのチャレンジにつながっていきます。

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この記事の著者

株式会社ナレッジワーク 並木康貴(ナミキヤスタカ)

株式会社ナレッジワーク カスタマーアクセラレーター。国内大手教育事業会社で営業職としてキャリアをスタート。全社営業戦略プロジェクトや首都圏営業組織のマネジメントに従事。その後、デロイトトーマツグループに入社。人材・組織開発コンサルティング、プログラム提供に従事。株式会社セールスフォース・ジャパンへ参...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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