マーケティングの全体像を理解する3つのマップ
「とりあえず新しいマーケティング施策を実施している」「リード獲得の『その後』まで追えていない」「関係部署が連携できていない」といった課題を抱えていないだろうか。
そんな課題を抱えているBtoBのマーケティング・セールス組織に紹介したいのが、『最高の打ち手が見つかる マーケティングの実践ガイド』(富家翔平 著、翔泳社)だ。著者は、コニカミノルタでBtoBマーケティング組織を立ち上げ、現在はEVeMでMarketing Directorを務める富家氏。同氏の知見と経験を詰め込んだ本書は「マーケティングの全体像把握のための時間と労力を正しくショートカットできる」(p3)という。
本書では、マーケティングの全体像を「プロセス」「キーポイント」「アクション」の3つのマップに整理。さらに、これらを活用して、マーケティング施策の目的・指標、見直すポイント、実行プランを具体化する方法を各章で解説する。
マーケティングの全体像を理解する3つのマップ
プロセスマップ
マーケティング組織の立ち上げから成果創出までに実行すべきことをプロセスに落とし込んだマップ。「現状把握」「組織づくり」「プラン作成」といった8つのマーケティングプロセスを「組織の立ち上げ/立て直し期」「初動期」「成長期」の3つのフェーズに分け、それぞれのフェーズで取るべきアクションをA~Pに振り分けている。
キーポイントマップ
「リードジェネレーション」「リードクオリファイ」「リードナーチャリング」「フォロー」「トスアップ/リサイクル」「商談」「LTV最大化」というマーケティング活動の全体像と一連の流れを示したマップ。「商談数」「受注数」といった指標も整理し、それらを構造的に理解できるよう手助けする。
アクションマップ
組織の「実行力」を形成するポイントを整理したマップ。「見直しポイント」「コンテンツ生成フレーム」「オペレーション」「マネジメント」「ミーティング」「コミュニケーションライン」の6つの要素で構成されている。
仕組みとコミュニケーションで「全体最適化」を目指す
なお、本書はマーケターはもちろん、「営業やインサイドセールス、経営者や事業責任者、カスタマーサクセスの皆さんとマーケティングへの共通理解」(p4)を深めることにも役立つと富家氏。分業化された組織は「個別最適の罠」(p226)に陥りやすい。たとえば「リード獲得数」「受注数」といった特定の指標に集中するあまり、売上創出や利益拡大といった本来の目的が抜け落ちてしまうことも多い。
そこで本書は、マーケターに限らず、営業やカスタマーサクセスなどすべての関係者が共通理解・共通言語のもと自社のマーケティング活動をディスカッションすることを勧める。とくに後半では、KPI/KGI設計や「コミュニケーションライン」(p237)の活用など、全体最適化をうながす方法を「仕組み」と「コミュニケーション」の両側面から解説。マーケティング活動の各プロセスにおける具体的な取り組みと合わせて、管掌範囲にとらわれず成果に向き合う組織風土を築くことにも言及している。
マーケティングとの連携を強化し、自社のビジネスをさらに成長させたいと考えるセールスパーソンは、ぜひ本書を手に取ってみてほしい。