課題を整理できていない状態で、ものを買うことはない
営業プロセスの流れは決まっていても、顧客が置かれている状況は各々で異なる。そこで顧客起点営業では、顧客の状況をすべて理解して課題を整理し、いかにお客様の意思決定プロセスを前に進めるかが重要になる。
SALESCOREでは、顧客の課題整理を行うために、顧客が商品・サービスを購入するまでの意思決定プロセスを洗い出した「カスタマーパス」という課題解決フレームワークを用いている。カスタマーパスはBtoB営業とBtoC営業の大部分に有効で、双方で支援実績があるという。
同フレームワークは、自社の商品やサービスの導入を意思決定する際に、顧客がたどる具体的なプロセスと考慮事項を徹底的に洗い出す(言語化する)プロセスから始まる。営業の目線でいうと、「順番に何をクリアしていくことで受注に至るかしっかり洗い出すということ」(同氏)となる。そのためにまず、お客様のことをよく知っている「社内のハイパフォーマーインタビュー」と「既存顧客のインタビュー」を実施する。
「お客様には、どのような流れを経て意思決定をしているのか、どこが大変かなどを詳細にうかがいます。意思決定に至るまでには5つのプロセスがありますが、そのすべてに比較検討の工程が入るため、それらの要素をすべて洗い出していきます」(勝部氏)
昨今の営業においてそのような活動が必要である理由として、勝部氏は顧客側の環境変化を挙げる。DXという概念が普及し始めた2018年ごろから顧客側の対応に変化が生じていて、「物事の進化・変化が加速しすぎて、顧客側が自社の課題や解くべき課題を整理できないという問題がどんどん大きくなっている」のだという。
以前の営業は、顧客側が何を欲しているのかが明確だったため、提案依頼にいち早く対応できれば売れていた。カスタマーパスを参照すると右から2番めの「戦略実現に向けた戦術の決定」に相当するが、今はその2段階前である「目的に対する課題整理」から一緒に考えていかなければならなくなっているのである。
「今は、提案の前段階にあたる難しい領域から一緒に整理してくれる営業が勝者になります。その結果、成果を出せる人が一部に限られてしまったり、アプローチしたときにはすでに他社が顧客の課題整理を始めていて、提案しないまま失注したりすることが増えてきています」と勝部氏は警鐘を鳴らす。
そのような環境変化にいち早く気づき、営業組織を営業起点から顧客起点へシフトしたのがスマートキャンプだ。石黒氏は、営業活動の成果が出にくくなった際、顧客が属する市場の変化と自らの購買体験からふたつの問題を感じ、顧客起点の考えに至ったという。
「商談を1つひとつ分析したところ、お客様の目的に対する課題整理ができていませんでした。その状態で営業は『うちの商品で課題解決ができます』とセールスしていたのです。自らの体験からも、目的と課題が整理できていない状態でものを買うことはないと気づきました。課題の整理がされていないのに、競合とこう違うとか、秀でていると言われても刺さらないのです」(石黒氏)
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