営業の役割は「顧客」が起点となる
SALESCOREは、伴走型コンサルティングとSaaSプロダクト「SALESCORE」の提供を通じて、企業向けにセールス・イネーブルメント支援を行っている。その中で勝部氏は、SaaS事業部 Revenue部門責任者として、同社でマーケティングとセールス全般を担っている。

デジタルマーケティング支援領域でサービス責任者や営業本部長、執行役員として事業責任者を歴任し、2023年よりSALESCORE株式会社に参画。現在はセールスイネーブルメントSaaS「SALESCORE」のRevenue責任者を務める。
スマートキャンプは、SaaS比較サイト「BOXIL」や、インサイドセールス代行事業の「BALES」を展開。石黒氏はBOXILのカンパニー執行役員と、BALESの営業本部長を務め、スマートキャンプ全体の営業組織強化を任されている。同社はSALESCOREの支援のもと、自社の営業組織を営業起点から顧客起点へ切り替えることに成功して成果を上げている。

BOXILカンパニー執行役員COO 営業統括本部 本部長
BALES BPOカンパニー 営業統括本部 本部長 石黒有晟氏
同志社大学を卒業後、新卒で株式会社エイチームに入社。結婚式場向け集客媒体Hanayumeにて、九州エリアや大手向け営業チームのリーダーとしてシェア拡大に貢献。2019年11月にスマートキャンプ株式会社へBOXIL SaaSのカスタマーサクセスとして入社。その後同事業のアカウントセールスリーダーや部長として営業組織強化を通じて事業成長を牽引。現在はBOXILカンパニー執行役員とBOXIL SaaS、BALES事業の営業本部長を兼任し、各事業の成長や営業組織強化をミッションとしている。
勝部氏は、営業の役割と、営業が介在することによって生み出されている価値を次のように定義する。
「営業の役割とは、自社に向けては『自社の商品やサービスを売上に変えること』で、顧客に対しては、『お客様の現状と課題を整理し、意思決定プロセスを前に進めること』です。とくにお客様の意思決定プロセスを前に進めることがポイントで、お客様は自らの意思決定プロセスを前に進めていくことが大変なので、それを支援するために営業という存在が必要になるのです」(勝部氏)
さらに勝部氏は、本イベントが掲げる「営業の仕事は『売る』ことなのか?」「Buyer Enablement」とのテーマ設定を受けて、「順番」という視点を交えつつ顧客起点営業の必要性を説く。

「自社の商品・サービスを売上に変えたあとにお客様の意思決定プロセスを前に進めるのではなく、まずお客様の意思決定プロセスを進めて『購入した先の変化を得る』と意思決定していただき、その結果として自社の売上が立つのです。そのため、営業の仕事は顧客向け・顧客視点で定義していく必要があります」(勝部氏)
営業の再現性をつくり出したい方におすすめ!
「SALESCORE」はSFAと連携し、データの収集から売れる仕組みの解明、実行をリードして「誰もが目標を達成し続ける営業組織」を実現するセールスイネーブルメントSaaSです。本記事でご興味を持たれた方は「SALESCORE」サービスサイトからお問い合わせください。
課題を整理できていない状態で、ものを買うことはない
営業プロセスの流れは決まっていても、顧客が置かれている状況は各々で異なる。そこで顧客起点営業では、顧客の状況をすべて理解して課題を整理し、いかにお客様の意思決定プロセスを前に進めるかが重要になる。

SALESCOREでは、顧客の課題整理を行うために、顧客が商品・サービスを購入するまでの意思決定プロセスを洗い出した「カスタマーパス」という課題解決フレームワークを用いている。カスタマーパスはBtoB営業とBtoC営業の大部分に有効で、双方で支援実績があるという。

同フレームワークは、自社の商品やサービスの導入を意思決定する際に、顧客がたどる具体的なプロセスと考慮事項を徹底的に洗い出す(言語化する)プロセスから始まる。営業の目線でいうと、「順番に何をクリアしていくことで受注に至るかしっかり洗い出すということ」(同氏)となる。そのためにまず、お客様のことをよく知っている「社内のハイパフォーマーインタビュー」と「既存顧客のインタビュー」を実施する。
「お客様には、どのような流れを経て意思決定をしているのか、どこが大変かなどを詳細にうかがいます。意思決定に至るまでには5つのプロセスがありますが、そのすべてに比較検討の工程が入るため、それらの要素をすべて洗い出していきます」(勝部氏)

昨今の営業においてそのような活動が必要である理由として、勝部氏は顧客側の環境変化を挙げる。DXという概念が普及し始めた2018年ごろから顧客側の対応に変化が生じていて、「物事の進化・変化が加速しすぎて、顧客側が自社の課題や解くべき課題を整理できないという問題がどんどん大きくなっている」のだという。
以前の営業は、顧客側が何を欲しているのかが明確だったため、提案依頼にいち早く対応できれば売れていた。カスタマーパスを参照すると右から2番めの「戦略実現に向けた戦術の決定」に相当するが、今はその2段階前である「目的に対する課題整理」から一緒に考えていかなければならなくなっているのである。
「今は、提案の前段階にあたる難しい領域から一緒に整理してくれる営業が勝者になります。その結果、成果を出せる人が一部に限られてしまったり、アプローチしたときにはすでに他社が顧客の課題整理を始めていて、提案しないまま失注したりすることが増えてきています」と勝部氏は警鐘を鳴らす。
そのような環境変化にいち早く気づき、営業組織を営業起点から顧客起点へシフトしたのがスマートキャンプだ。石黒氏は、営業活動の成果が出にくくなった際、顧客が属する市場の変化と自らの購買体験からふたつの問題を感じ、顧客起点の考えに至ったという。

「商談を1つひとつ分析したところ、お客様の目的に対する課題整理ができていませんでした。その状態で営業は『うちの商品で課題解決ができます』とセールスしていたのです。自らの体験からも、目的と課題が整理できていない状態でものを買うことはないと気づきました。課題の整理がされていないのに、競合とこう違うとか、秀でていると言われても刺さらないのです」(石黒氏)
営業の再現性をつくり出したい方におすすめ!
「SALESCORE」はSFAと連携し、データの収集から売れる仕組みの解明、実行をリードして「誰もが目標を達成し続ける営業組織」を実現するセールスイネーブルメントSaaSです。本記事でご興味を持たれた方は「SALESCORE」サービスサイトからお問い合わせください。
「営業の低難易度化」で現場への浸透をブースト
顧客起点営業の重要性は理解できても、次の段階で「現場への浸透」という課題が発生する。的確なフレームワークを設計しても、実行されなければ何も変わらない。「顧客起点の営業を実践した一部のメンバーだけが成果を得る」という属人化が加速する一方である。顧客起点営業が現場に浸透しない理由として、勝部氏は「営業の再現性を高めるための仕組みのどこかが抜けているから」と説く。
実際にスマートキャンプも、初期の浸透フェーズで難しさを感じたという。
「顧客の購買プロセスに沿って営業しようとしても、営業1人ひとりでとらえ方も異なり、それがうまくいっているのかいないのか、数値ベースで測りにくいという問題に突き当たりました」(石黒氏)
この問題を解決するにはまず営業プロセスの全体像を知る必要がある。そのためにSALESCOREが活用しているのが「Sales Enablement map」だ。カスタマーパスが売れるメカニズムを“解明”するためのものであるのに対し、同マップはそれを営業組織が“実現”する仕組みをつくり、定着させるためのフレームワークとなる。

顧客起点の営業を成功させるためにはメカニズムとプロセスが重要になるが、次に重要なのが「売れるメカニズムと設計されたプロセスに沿って、営業のメンバーが実行するための仕組みをつくること」、つまり「営業の低難易度化」であるという。
「スキルの話になりがちですが、まず仕組みを整えていくことが大切なのです。設計したものをあたりまえに実行できる、実行自体が難しくないという環境をつくっていく必要があります」(勝部氏)
2回めの商談はあるか?「やり切る組織」が掲げた指標
仕組みを整えたうえで、最終的にはその仕組みを“実行”することが重要になる。これをSales Enablement mapでは「正しくやり切る組織風土をつくる」と表現する。スマートキャンプはそれらの方法論の実践を経て変革に至ったが、その過程では複数の壁があったと石黒氏は明かす。とくに、現状の営業活動がうまくいっているかどうかを判断する仕組みを整える部分が難しかったという。
そこで石黒氏は、売れるメカニズムと自らの経験をもとに、マネジメントラインで見るべき項目と数値を決め、「SALESCORE」のダッシュボードを使って一連の流れで把握できるようにした。
「営業メンバーがダッシュボードを見た際に、どこがうまくいき、どこが駄目かを把握できるように可視化して仕組み化し、いつモニタリングするかまで決めました。数値を可視化するときには、マネジメント側が見たい数字を可視化するのではなく、販売促進や目標達成につながる可能性が高い項目を意識的に可視化することで、メンバーが毎日、毎週見るような形に設計できました」(石黒氏)
その中で石黒氏は、ポイントとなった指標として「2回めの商談に行ったか」を挙げる。
「初回商談時に課題の整理がしっかりできていないと、2回めのアポイントにつながりません。顧客が2回めのアポイントを設定してくれているということは、課題の整理ができ当社の商材が解決に適していると思われていることなので、この指標を設けたのは大きかったと言えます」(石黒氏)

セッションの最後に勝部氏は、スマートキャンプの取り組みも支えるSaaSプロダクト「SALESCORE」に言及した。ダッシュボード機能を実装し、Sales Enablement mapの最終プロセスである「正しくやり切る組織風土」づくりを支援する製品だという。
「『SALESCORE』を導入し、顧客起点で進めるために見るべきさまざまなKPIや、KPIを前に進めるためのアクション指標など、マネジメントしなければならない指標・数値を管理して、予実管理やアクションの結果の記録を即座に行うことで、営業パーソンのピュアセールスタイムを損なうことなくPDCAを回せるようになります。我々はツールとコンサルティングを通じ、皆様の仲間として、顧客起点の営業をより高いレベルに持っていく支援をします」(勝部氏)
営業の再現性をつくり出したい方におすすめ!
「SALESCORE」はSFAと連携し、データの収集から売れる仕組みの解明、実行をリードして「誰もが目標を達成し続ける営業組織」を実現するセールスイネーブルメントSaaSです。本記事でご興味を持たれた方は「SALESCORE」サービスサイトからお問い合わせください。