意外と軽視されている「差出人」の表記と「件名」
BtoCではLINEやMessengerなどのSNS系のツールがコミュニケーションツールの主流になりつつあります。しかし、BtoBではまだまだメールが主流ですね。メールで業務をスムーズに進めるため、第4回では、思ったとおりの行動を起こしてもらえるメールの書き方を伝えました。しかし、メールの返事がもらえない、あるいはメールマガジンの反応が鈍い場合、最初に疑うべきはそもそも開封されていないのではないかということです。
ビジネスシーンでは、社内外の連絡やメルマガなど、毎日膨大な数のメールが飛び交っています。その中から選んでもらい、開封してもらうのはなかなか大変です。どれほど良いことが本文に書いてあっても、そもそも開封して読んでもらえなければレスポンスは期待できません。まずはメールを開封してもらうため、どうすべきか。コピーライティングの観点から、今すぐに実践できるポイントをご紹介します。
開封されるメールの2大ポイント。それは「差出人(誰から)」と「件名(何の用か)」です。メールをチェックする際、多くの人は真っ先に差出人と件名を見て、誰から何の用件で来たメールか判断しています。差出人に覚えがないメールや自分には関係がない内容だと判断されたメールは、開封されない可能性が高いでしょう。そうであるにも関わらず、この2点を軽視している方は意外と多いのです。
まずは、自分が送ったメールの差出人欄がどのように表示されるかチェックしてみましょう。デフォルトの設定のまま、名前だけが表示されている人が多いですね。面識のある人にしかメールを出す機会がないのであれば、それでも良いかもしれません。しかし、営業職など、面識がほとんどない、あるいはまったくない人に宛てて頻繁にメールする機会がある場合、よほどの著名人でない限り、名前だけではどこの誰なのか相手には伝わりません。
そこで、「名前(社名)」「名前 社名」など、差出人に社名を表示するのがおすすめです。(使用するメールソフトや設定によって見え方は変わります)
PCでの見え方
スマートフォンでの見え方
次に件名です。メールの受信欄には「差出人/件名/本文の冒頭部分」が表示されるケースが多いと思います。この表示領域を見ただけで、相手に「読まなければ」と思ってもらう必要があります。そのために、まず受信欄に表示し切れないような長い件名は避けましょう。デバイスやフォントサイズなど、受信者側の設定によって見え方は異なりますが、表示されるのはたいていこの3つです。件名は全角20文字程度を目安に、簡潔に書くようにしてください。
また、差出人と件名が重複しているケースも多いようです。たとえば差出人に「アルマ・クリエイション」と社名を記載しているのに、件名でも「アルマ・クリエイションからのシステムメンテナンスに関する重要なお知らせ」と書いてしまう。社名を入れることで長くなってしまいますし、少しでも多くの情報を提供してメールを開封してもらいたいのに、これは非常にもったいないですね。次ページでは、メールの目的に合わせた件名のポイントを解説します。
ちなみに、インターネットが登場する以前は、DMを郵送していたのですが、届いた瞬間ゴミ箱に捨てられないように、封筒に開封を促すメッセージを書いていました。この文言のことを、コピーライティングの世界では「ティーザーコピー」と呼びます。現在で言えば、メールの件名がティーザーコピーにあたります。