プロダクトやマーケットをつくる新たな経験
──テックタッチへ入社するまでの西野さんのキャリアについて教えてください。
新卒でTISに入社し、SAP ERPの導入・保守運用プロジェクトに3年ほど携わる中で「なぜ企業は多額の投資をして基幹システムを導入するのか」と疑問を抱きました。その理由を理解するため、顧客と直接会話ができる営業職へ異動したのです。
異動後は、システムというかたちがないものの価値を伝え、契約してもらう喜びを経験しました。3年ほどTISで営業を経験したのち、営業スキルの向上・自社プロダクトを提案できる環境を求めて、外資系のSAPへ転職。SuccessFactorsの日本チーム立ち上げに携わり、自分たちで組織体制やビジネスモデルをつくる経験を得ました。
当初10名ほどだったチームが80名へ拡大したころ、「もういちどチームづくりを経験したい」「グローバルのチームと連携したビジネスをやりたい」という思いが高まり、Slackの日本法人立ち上げに参画。SlackがSalesforceに買収されて事業部のようなかたちになり、再び組織づくりやビジネスの立ち上げに挑戦したいと考えていたところ、代表の井無田と出会ったのです。
──それまでのキャリアを踏まえ、外資系企業への転職を考えていたとうかがいました。なぜ、日本発のスタートアップ企業であるテックタッチへ入社されたのでしょうか。
事業内容を聞き、エンタープライズセールスの経験を還元できそうだと感じました。また、外資系企業では海外の成功モデルを日本でも成功させることが求められましたが、テックタッチでは、自分たちでプロダクトやマーケットをつくる、スタートアップ企業ならではの新たな経験ができると思ったのです。自分自身のキャリアにとってもプラスになると考え、テックタッチにジョインしました。
振り返れば、既存組織をうまく運営していくより、組織をいちからつくることにモチベーションがあったのだと思いますね。組織のあるべき姿を考え、会社全体をうまく回していくためには、営業組織以外のチームと連携しながら横ぐしで土台をつくっていかなければなりません。この点にとてもやりがいを感じますし、経営メンバーのひとりとしてテックタッチを大きくしていくため、責任感を持って取り組まなければいけないと感じています。
エンタープライズ企業と向き合える“強い組織”を目指す
──入社当時の西野さんのミッションについて、テックタッチが抱えていた課題を踏まえて教えてください。
これはスタートアップ共通の事象だと思うのですが、まず経営者が理念を持ってサービスをつくり、先頭に立って営業活動を行います。事業をスケールさせるためには、将来性に期待して契約してくださった顧客をきちんと成功させる必要がありますから、カスタマーサクセスを強化します。
私がテックタッチに入社した当時も、井無田の活動によってすでに数社のエンタープライズ企業と取引を開始し、エンタープライズ領域で戦えるプロダクト・カスタマーサクセスが整っていました。一方セールスは、井無田はじめ数名の営業が泥臭く頑張っている状況だったのです。エンタープライズ企業とお付き合いしてしっかり契約していだける、そういった“強い組織”をつくることが私のミッションでした。
──エンタープライズセールス組織を強化するため、どのような施策に取り組んだのでしょうか。
まずは、適正な価格設定やマネジメント体制、営業プロセスの現状確認と、それらの改善点を見つけるところから始めました。加えて、年間でどれくらい事業を成長させたいのか、そのためにはどのようなチーム構成・採用が必要となるか検討し、事業計画を立てていきました。
取り組みの中で、Salesforceの活用方法も改善しています。私が入社する前からSalesforceは導入していましたが、データの入れ方や何を管理したいかが不明瞭でした。そこで、まずは商談開始から受注に至る各フェーズの目的・ゴールを定義し、「フェーズ管理」を進めました。マネージャーとメンバーの目線をそろえたことで、案件評価や的確なタイミングでのアドバイス・リスク管理を実現すると同時に、フェーズ管理を行うためにはSalesforceで正しくデータを入力・管理することが必要だという認識を広めたのです。