株式会社才流(サイル)でマーケティングコンサルタントをしている澤井と申します。本連載では新しいセールス関連サービスを提供している企業や業界で活躍しているトップセールスの方を取材し、営業で結果を出すための秘訣について迫っていきます。
第1回めとなる今回は、手紙を活用したキーマンとの商談獲得サービスを提供している株式会社カタセル 代表取締役 加藤一平さんに「手紙」を活用した営業手法についてインタビューし、手紙活用の秘訣を聞きました。
「伝わりにくいサービス」はテレアポをしても良質なアポイントは取れない
澤井 加藤さんはなぜ手紙に注目されたのでしょうか?
加藤 弊社ではもともと手紙のサービスを始める前に、テレアポ代行という形で、ソリューション型/無形商材といった、いわゆる「わかりにくい商材」をお持ちの企業様を中心に商談獲得のご支援をしていました。
とにかくアポイントが取りにくかったんです。これらのサービスは電話だけで説明することが非常に難しく、さらに、ソリューション型/無形商材のわかりにくさに、新規性の高い、新しい概念のサービスという要素が加わるとまったく話が通じないこともありました。
たとえば、AIを活用したシステム開発のサービスがあったとします。このサービスを電話だけで説明しても、多くの見込み客は「具体的なイメージがわかない」のです。イメージがわかないサービスについて「わからないからとりあえず会って話を聞いてみよう」とはなりません。どうしても、電話の段階で、最低限サービス内容について知ってもらう、理解してもらう必要があります。
そこで、わかりやすく伝えるにはどうすればいいのか考えた結果、サービスサイトに電話で誘導しサイトをご確認いただきながら説明することにチャレンジしたのですが、いきなりかかってきた電話にそこまで対応していただくのは至難の業です。いろいろと試行錯誤する中、たどり着いたのが「手紙」でした。
澤井 手紙を送付してもあまりアポイントにつながるイメージがないのですが、実際はいかがですか?
加藤 手紙が有効な理由は2点あります。ひとつは、先ほどご説明したとおり、電話のみでは伝わりにくいサービスでも手紙を通じて伝えることができる点。ふたつめは、大手企業のキーマンに対してダイレクトにアプローチができる点です。大手企業にリーチする際に、ウェブマーケティングや展示会などのマーケティング活動とテレアポだけではなかなかキーマンまでたどり着けません。
実際に、大手企業にテレアポでアプローチをしても、該当する部署が複数ある/キーマンに接触できない/キーマンかと思って訪問したら違った/担当者にアポイントが取れたが商談後キーマンにたどり着く前に話が止まってしまった、といった問題が、弊社がテレアポ代行のサービスを提供していた際に発生していました。
大手企業のキーマン(役員や部長などの上位職者)の方の情報は、HPやIR・人事情報を見ればある程度わかります。その方に決算情報などをもとに提案内容をパーソナライズした手紙を送りました。大手企業でも手紙ならば、高い確率で相手の手元に届きます。
また、手紙だと情報量が少なく詳しい内容が伝えられないのではないかと思われがちですが、実際にまとめてみるとかなり多くの情報を伝えることができます。手紙を送付し手元に届いた頃に電話をかけると高い確率でお話しすることができますし、手紙も読んでいただいてることが多いです。そのため、どんなサービスなのかひとことで説明すればだいたい伝わります。あとは、キーマンの意向を確認したうえでアポイントを打診するだけです。