営業の科学を推し進めるセールス・イネーブルメント
「営業成績を伸ばすためにもっとも重要なことはなんだろうか?」
突然そんな質問を投げかけられたら、あなたはなんと答えるでしょうか。筆者は、「商談の可視化、傾斜化」と答えます。理由は単純です。商談の可視化と傾斜化が進めば、改善策を提案できるからです。
ここでいう商談の可視化とは、「どんな内容の話をし、クライアントからどのようなリアクションをもらったか」を社内全員が共有できることを指します。
商談の傾斜化とは、「クライアントがどのような点に興味を持ち、どのような条件ならば契約を決めるのか」というクライアントの関心度、重要箇所、あるいは決裁者など重要情報の抽出のことを指します。
たとえるなら、営業はダイエットと同じだと筆者は考えます。ダイエットには成功理論があります。その日の食事と運動を可視化し、改善策を出し、実行すれば基本的に減量は成功すると言われます。
より具体的に言えば、その日に糖質、タンパク質をどれだけ摂ったかを明らかにし、今後より痩せるためにタンパク質をどれだけ食べて、糖質をどれだけ減らせば良いかわかれば、理論上はやせることができるよね、という話です。
そう、ダイエットが科学されているように、営業も科学的に結果を出せる。いま、世界はそんな潮流になっているのです。
この「営業の科学」を強力に推し進めるのがセールス・イネーブルメンと呼ばれる分野です。ここ数年でセールス・イネーブルメントの市場が急拡大しています。
海外を見ると、商談解析ベンチャーが続々登場しています。海外では、Gong社が1兆円近いバリュエーションで資金調達したことを発表しました。海外では日本よりも転職率が高いため、商談内容を社内で共有し、改善案を社内の資産として蓄積していく必要があります。属人性のある営業ではダメなのです。
日本では、販売従事者は雇用者数の10%を超えています(労働政策研究・研修機構の調べ)。つまり、日本の営業を変えることは、10人にひとりの生産性を上げることに貢献するのです。