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SalesZine Day(セールスジン・デイ)とは、テクノロジーで営業組織を支援するウェブマガジン「SalesZine」が主催するイベントです。 丸1日を通してSales Techのトレンドや最新事例を効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

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企業の競争力を高める「営業DX」とは? 日本の営業組織の未来を探る powered by SalesZine

2024年4月18日(木)14:00~15:30

常に高い売上目標を達成し続けなければいけない営業組織。先行きの見通しが立たない時代においても成果を挙げるためには、過去の経験にとらわれず、柔軟に顧客や時代に合わせて変化し続けなければなりません。変化に必要なのは、継続的な学びであり、新たなテクノロジーや新たな営業の仕組みは営業組織の変化を助け、支えてくれるものであるはずです。SalesZine編集部が企画する講座を集めた「SalesZine Academy(セールスジン アカデミー)」は、新しい営業組織をつくり、けん引する人材を育てるお手伝いをします。

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AI&BIで電話とモチベーション分析 Salesforceのデータドリブンインサイドセールス最新事例

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 日本のインサイドセールス市場で、常に最先端を走り続けるセールスフォース・ドットコム。コロナ禍以降の社会変化を受け、同社のインサイドセールス組織はどのような進化を遂げているのだろうか。本稿では同社で、エンタープライズ向け、デジタルマーケティング製品などを担当するアウトバウンドのインサイドセールス5チームを統括する加藤鉄平さんにインタビューを実施。加藤さんがセールスフォース・ドットコムでチャレンジする理由、インサイドセールスチームにおけるテクノロジー活用の最先端事例、チームで大切にしている成長・育成の哲学と仕組みについて聞いた。

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“将来のエース”を育てるインサイドセールス組織

――加藤さんはセールスフォース・ジャパンを一度離れて外資SaaS系企業への経験を経て、2017年に再びセールスフォース・ジャパンに復帰されたのですね。

当時、転職という選択肢を選んだのはセールスフォース・ジャパンの「The Model」という仕組みを用いた営業プロセス・営業の進め方を学んだうえで、自分の力を外で試してみたかったからです。ちなみに、転職先から当社に戻ってくる人は割と多い印象があります。私が戻った理由は具体的に3つありました。

 
株式会社セールスフォース・ジャパン セールスディベロップメント本部
エンタープライズ事業部 事業部長 加藤 鉄平さん
日系の大手IT企業、ERPベンダーの営業を経て、 2013年にセールスフォース・ジャパン入社。インサイドセールスマネ-ジャー、コマーシャル営業を経験後、 外資系SaaSベンダーに転職。2017年、インサイドセールスマネ-ジャーに復帰。アウトバウンドのインサイドセールス5チームを統括。

ひとつめは、ちょうど40歳手前のタイミングで「4、50代のキャリアの幹」を持ちたかったからです。次の5年間は、経済面や自身のスキルアップだけではなく、人の成長に携わることができたら素敵だなと「育成」に携わるポジションを意識していました。

ふたつめは、インサイドセールスチームの新しいチャレンジがスタートするタイミングだったこと。かつての上司から、「エンタープライズ領域でまだお取引がないお客様を開拓するインサイドセールスの特別プロジェクトに力を貸してほしい」と誘ってもらったのですが、自分がこれまでIT業界で学んできた新規開拓・大企業向けの手法を活かすことができると考えました。また、チャレンジする人の背中を押す文化がある当社でこそ挑戦してみたいとも思いました。

3つめは、本当にお客様の役に立つビジネスモデルについて見つめ直したかったから。当社のコアバリューである「カスタマーサクセス」は、現在さまざまな会社でも掲げられていることではあります。ただし、当社が提供するCRMやデジタルマーケティング支援SaaSは、誰にとっても必要なものではなく、あくまで「Nice to have」な(あればなお良い)ソリューションです。真にお客様のビジネス成長を実現し、寄り添わなければ活用され続けませんし、その構造があるからこそ社員全員が本当にカスタマーサクセスに向かって働いています。あらためてそこに魅力を感じていました。

――ご自身のキャリアプランと、セールスフォース・ジャパンの挑戦が重なりあうタイミングだったのですね。現在のインサイドセールス組織のミッションを教えてください。

3つあります。ひとつめはお客様との最初の接点かつ扉を開く役割として、お客様と自社双方の成長につながる上質な商談をつくることです。そのために、インサイドセールスとしての数値・定量的な目標をしっかりと達成する必要があります。ふたつめは、私のキャリアの話にも通じますが、さまざまなポジションで活躍する“将来のエース”をインサイドセールス部門で育成していくこと。そして、3つめは、インサイドセールス自体を日本市場に定着させて広げていくことです。最近はお客様含めてさまざまな場面で情報交換の機会をいただいていますが、日本では完全に根づいているわけではなく、力を合わせながらつくっている段階にあると認識しています。本日も自社の最新状況を共有し、皆さんとインサイドセールス市場を成長させたいと考えています。

AIで電話内容を点数化 トークは「営業が7割」有効?

――常に進化し続けるセールスフォース・ジャパンのインサイドセールスチームですが、現在の状況を表わすキーワードや取り組みを教えていただけますか。

ずばり“データドリブン”です。背景には、AIやテクノロジーの進化も当然あるのですが、コロナ禍で加速した側面もあります。

たとえば、さまざまなイベントがオンライン化し、物理的な制約がなくなったことで、接触できる見込み客の数が1.5~2倍に増えた一方、参加のハードルが下がった結果、さまざまな興味関心の度合いのお客様が参加されるようになり、商談化率は下がってしまったという話もよく耳にします。これまで以上に見込み客の状況を見極め、誰でも抜け目ない対応を素早く行うことができるよう環境を整備する必要が出てきました。

そこで我々は、インサイドセールスのために最適化されたSalesforceのソリューションであるHigh Velocity Salesを活用し、フォローのベストプラクティスをシナリオ化しています。たとえば、最初に送るメールはテンプレートがセットされており、少し手を加えればすぐに送信できます。そのメールを「開封した人に対してコールをするTo Do」を自動発行する、といったかたちで効率化が可能です。このおかげで個人のスキルに頼らずに対応スピードを上げ、インサイドセールスは提案の仮説立てやお客様に合わせたカスタマイズなどにより注力することができています。またトリガー(メール開封)に対して、どう行動するか(シナリオ)は、我々が活用しているSalesforce上に蓄積された顧客およびに営業活動のデータを基にしています。ただ細かい定義が固まっているわけではなく、最新情報を見ながら、どのようなTo Doが自動発行されるべきか、常にPDCAを回して検討しています。

Hight Velocity Salesのシナリオ(イメージ)[画像をクリックで拡大]

――最初の架電前からデータドリブンなフローが組まれているのですね。そのほかにどのような電話データの分析・活用をされていますか。

CTI連携×分析ツールのTableauで、電話がつながりやすい時間帯を分析しています。自分のチームではデータを基に、9時・13時などつながりやすい時間帯に集中して活動を行うことで、商談獲得につなげています。

さらに、「お客様が求めていること」を理解するために、電話内容もAIで解析しています。たとえば当社ではお電話の冒頭に「Why you now」という「なぜ今あなたとお話させていただきたいのか」を伝えるようにしていますが、言葉遣いなどを含めて点数化し「お客様により響く話ができているか」を分析、改善点を導き出します。マネージャーによるデータモニタリングの結果なども総合的に点数で表示しています。

まだチャレンジの最中ではありますが、インバウンドとアウトバウンドのチームで傾向が異なることもわかってきました。たとえば、インバウンド対応では、幅広いトピックで客観的な根拠を提供することが効果的です。一方、アウトバウンドの場合はトピックを絞り込んだうえで、ストーリーテリングを意識して話したほうが良い、という傾向が見えてきました。

 
反響型(インバウンド)/新規開拓型(アウトバンド)優れたトークの比較

ちなみに、両者に共通したデータとして話す割合は「自分7:相手3」が良いことも明らかになっています。よく、「商談で営業ばかりが話すのは良くない」と言われますが、時代の変化や当社のインサイドセールスの役割を踏まえると、こちらからの情報提供量も重要だということが読み取れる結果となりました。

2種類のサーベイでチームのモチベーションを可視化

――行動量の多さもインサイドセールスの特徴だと思います。コロナ禍のリモートワーク環境では、どのようにメンバーのモチベーション維持を行っていましたか。

一般的に、リモートワークでは孤独感が生まれやすく、会社への帰属意識が希薄になり、上司・部下の関係づくりも難しいと言われています。社員に寄り添う、納得できるコミュニケーションを実現する必要がありますが、そのときに意識するべきなのも実は“データ”です。「リモートで寂しいからみんなで1時間電話を頑張ろう!」と盛り上げるのも、1~2回が限度でしょう。精神論ではなく、データドリブンに使えるツールを最適化していく工程が欠かせません。

当社は2020年3月中旬からフルリモート体制に移行したのですが、SalseforceとTableauによってメンバーやチームごとの営業活動データが把握できており、リモートでの1on1には困っているポイントを把握したうえで臨むことができました。マネージャーは、主観的な自分の思いではなく、ほかの人の傾向なども可視化し具体的な策を伝えることを意識しています。

営業成果以外のモチベーションの状態も、顔を合わせなければ当然捉えづらいです。そこで、従業員に対する「モチベーションサーベイ」を、毎月1回と半年に1回の2種類実施し、データとして蓄積しています。チーム全体のモチベーションが高い水準にあるのか、少し落ちているのか、ひと目でわかります。さらに「マネージャーに対して要望があるのか」「会社の仕組みに要望があるのか」「自分の目標達成が叶わずモチベーションが下がっているのか」――など情報を細かく可視化し、それぞれに合わせた対策を打ってきました。少し変わったものだと、社内SNS上でどれだけ感謝の言葉、尊敬の言葉があるかをデータとして可視化したこともあります。

――長期的な目標の管理やキャリアステップの表示も、インサイドセールスのモチベーションを高めるためには必要そうです。

当社のインサイドセールスは、まず反響型で1年~1年半、新規開拓型で1年~1年半、計3年ほどの経験を経て、フィールドセールスへ異動となることが多いです。キャリアアップのためのトレーニングは大学の単位制授業のように、必須のものと選択式のものが用意されています。この学びの状況や成長もデータとして可視化されており、「V2MOM」と呼ばれる個々人の目標管理の仕組みと、この育成データを合わせて活用することで、感覚ではなくデータに基づいたキャリア提案を1人ひとりに対して実現しています。

生産性向上を目指し最新ツールに常に挑戦する組織へ

――現在取り組んでいるチャレンジはありますか。

データドリブンが深く根づいた今、さらに力を入れていきたいのが、AI活用です。リモート下のデータが溜まってきていますが、出社頻度が増えているお客様もいる新しい環境下で、先ほどの「営業が7割話したほうが良い」というデータがどこまで通用するか、まだわかりません。AIを活用し、最適な情報提供やコミュニケーションを今後も検討し続ける必要があります。本格的に活用し始めて1年ほどのHigh Velocity Salesでも、より効果的な「型」を見つけて、抜け漏れなく生産性を高める方法を見極めていこうと思います。

また、2月に新オフィスがオープンする一方、Slackは我々の「デジタルHQ(デジタル本社)」となっています。資料確認や、スケジュール調整、社内申請や承認もSlack上で完結します。働き方を便利にするツールは今後も登場していくと思いますが、1つひとつのアプリケーションにアクセスせずとも完結できるSlackは生産性を高めるハブの役割を担っていくと思います。

――これからのインサイドセールスにはどんな考え方やテクノロジーが必要でしょうか?

インサイドセールスは営業プロセスのひとつであり、営業生産性を高める手段として興味関心が高まっていると思います。労働人口が減るなかで提案の質を落とさず、インサイドセールスの生産性を高めるためには、時代やタイミングに合わせて最先端のツールを取り入れることに継続的にチャレンジする必要があるでしょう。私の経験を踏まえると「蓄積したデータを分析できるツール」「データに対して示唆を与えてくれるAI」「プロセス自動化ソリューション」は引き続き注目するべきツール群だと思います。

――最後に、自分のキャリア形成に悩むインサイドセールスへ、アドバイスやメッセージをお願いします。

短期的な結果だけを追い求めることよりも、物事の本質をそれぞれの人が追求することが重要だと思います。現場の皆さんは高い視座を持ち、「次のポジションにいく」ことだけを目的とせず、ふたつ先くらいの地点を見ながら走っていくと良いでしょう。「インサイドセールス組織を成長させる」「フィールドセールスとなってお客様と伴走する」、次のステップはどんなものでも良いですし、その思考を心がけておけば可能性は必ず広がっていきます。視座が下がっているときには、自分自身で上げる工夫をしてみましょう。

モチベーションの上下は、インサイドセールスに限りません。マネージャーの皆さんは、メンバーから「首都圏を担当する大企業案件のチームに昇格したいです」と申告されたときに、「では今のインサイドセールスの業務ではこの考え方を学ぶべき」「今取り組んでいることは将来にどうつながるか」を伝えていきましょう。「見込み客との商談をつくる」という役割を通じて「お客様指向な考え方」「KPI達成への意欲」が育ちますし、インサイドセールスの経験は、あらゆるポジションにおいて必ず役に立つはずです。

 

――これからも御社のインサイドセールスの進化が楽しみです。ありがとうございました。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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https://saleszine.jp/article/detail/3086 2022/05/11 14:30

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