ツールの定着には、他ツールを一切使わせないリーダーシップが不可欠
――新しいツールの導入に際しては組織への定着が課題になることも多いですが、どのように推進されましたか。
何を持って定着とするのかは、さまざまな観点がありますが、業務にツールを落とし込んで使ってもらうまでのスピードは1週間ほどで、かなり早かったと思います。これに関しては「今まで使っていたGoogleカレンダーやスプレッドシートなどは一切使わず、Magic Moment Playbookを使うように」と、トップダウンで進めました。
その結果3ヵ月ほどで、115名の新卒と約30名いる営業組織の全員がMagic Moment Playbookを中心に業務に取り組む状態をつくることができました。業務の効率化はコストの削減や時間の創出にも直結しますから、経営面でもインパクトを生むことができたと思います。このスピードで一気に組織を変革できたのは、リーダーシップが発揮されやすいUSEN-NEXT GROUPの文化も関係しているのかもしれません。
――強いリーダーシップのもと、あくまでもMagic Moment Playbookへの一本化にこだわった理由は何でしょうか。
CRMだけを活用した場合、どれだけ顧客データがまとまっていても、どの顧客から当たっていくかは最終的に営業パーソンが自分で決めなくてはなりません。過去にそのような状況にある営業組織と仕事をする機会があり、CRMを活用している限りは1人ひとりのスキルに依存してしまう部分があると感じたんです。それに対しMagic Moment Playbookは空いている営業パーソンに自動でリードを当てていくので、1人ひとりの行動量を最大化することができます。特に新卒は「どのリードにあたるべきか」を考えるだけでかなりの時間を取られてしまいますから、ここを自動化できるか否かで、営業組織全体の効率はまったく違ってくると思うんです。
現在、通話システムは別のものを使っていますが、将来的にはここも連携させてMagic Moment Playbook上からワンタッチで架電ができるように移行したいと考えています。LINEやInstagramなど、あらゆる顧客接点のチャネルから集まってくるリードすべてに対応できるようになれば、もっとおもしろいですね。
――グループ企業のインサイドセールス業務をすべて担う新会社として設立されたUSEN-NEXT Designですが、最先端の営業オペレーションを今後、USEN本体ならびにグループ全体へとどのように広げていかれるのでしょうか。
現在グループには23の事業会社がありますが、基幹システムが統合されておらず、各事業のプロダクトに紐づく顧客情報もそれぞれに管理している状態です。オペレーションもバラバラで統合するには課題が山積みですが、おそらく今は各事業会社がどのように効率化を進めているか、グループ全体で見られているところなのだと思います。その中で我々がやっていることは超合理的ですから、まずはきちんと成功事例をつくり、認めてもらうことですね。
――最後に、売上向上や営業スキルの標準化などに課題を抱えているマネジメント層へ、メッセージをお願いできますでしょうか。
先ほどツールの定着をトップダウンで進めた話をしましたが、現場はどうしてもそれまでの運用に合わせた使い方をしたがるものです。中には裏技を使ってでも従来の運用に固執するメンバーが出てくることもあると思います。たとえば自動化が機能の要であるMagic Moment Playbookも、例外的に手動対応に切り替えることができるのですが、勝手に切り替えているメンバーがいれば発見して止めなければなりません。
経営側のビジョンと現場の運用は往々にしてかけ離れているものですが、ビジョンに紐づいてツールを導入したのであれば、そのビジョンに共感したマネジメントがリーダーシップを発揮し、ときには力技で実務に落とし込んでいかなければ意味がありません。新しい運用に順応していないメンバーを見つけて軌道修正していくのは地道で時間がかかることですが、それを継続しているから力になっていくんですよね。それこそがオペレーションでありマネジメントだと私は考えています。
――注目のMagic Moment Playbookを非常に早いタイミングで使いこなされている御社およびグループの、今後の「合理的な営業活動の追求」もとても楽しみです。本日はありがとうございました!