組織の営業力を高めるために必須な「ワークログ」
アステリアでは、商談スキルの向上のために、セールステックとワークログの活用を推奨している。
松浦氏によると、営業は「営業管理」と「営業活動」に大別できるという。細分化する場合、「計画>可視化・共有>分析>蓄積>記録・報告>商談>訪問>準備>計画」というサイクルが存在し、計画から記録・報告までが営業管理、記録・報告から準備までが営業活動とする。
「営業管理」の段階で用いられるツールが、SFAやCRMだ。ここで使うデータは営業担当者が入力する主観を交えたデータであることが特徴と言える。一方、「営業活動」に関する記録がワークログであり、こちらは客観的なデータであることが特徴だという。
松浦氏曰く、ワークログの収集には主に3つのステップがあるという。ひとつめは、「販促資料=コンテンツ」の利用状況や評判の把握。ふたつめは社員のトレーニング進捗の把握。3つめは、商談の実践データの記録だ。
コンテンツの具体例としては、カタログやパンフレット、提案資料、導入事例、紹介動画など、さまざまな種類がある。そして、オンライン商談で特に重要なコンテンツ足り得るのが「商談のトークスクリプト」だ。組織で営業の武器を共有し、ワークログを取得することが営業のスキル差を縮め、属人化を解消することにつながるという。
共有の過程を効率化するカギがセールステックの活用である、と松浦氏は述べる。成果をあげる営業担当者がどんな資料を使っているかを分析し、営業に必要な資料の改善施策を施すPDCAサイクルを回す。そして、それを営業担当者に一斉配信できることで、全員がコンテンツを利用できる体制を整えることが可能になるからだ。組織の「売れるノウハウ」が、効率的に共有できるようになる。
そこで松浦氏は、アステリア社が提供するセールステックとして「Handbook(ハンドブック)」を紹介。同ツールを用いれば、ワークログの収集や共有だけではなく、分析までのステップを一元的に行えるという。
Handbookでは、ブラウザ画面のドラッグアンドドロップ操作だけで、PDFや動画などのコンテンツをクラウド上で共有することができる。営業担当者は、こうした販促資料やトレーニングの情報をタブレット上のアプリから閲覧でき、評価や要望を管理者側に送信することもできる。そして、誰が、いつ、どの販促資料にアクセスしたかという情報や、トレーニングの進捗、テスト結果などのワークログが蓄積されていく。
松浦氏は、Handbookの活用事例として、食品メーカー向けに調理機を提供するメーカーであるアサヒ装設での事例を紹介した。同社では、営業担当者が販促資料を「ブック」という単位で管理している。ブックは機種ごとに用意されており、計70種類が管理されているという。コンテンツはアプリ内で書籍の表紙のように表示されるため、直観的に必要な資料を選ぶことができる。関連した資料はブックの中にまとめられており、顧客の要求に合致した資料をすばやく見つけて表示させることが可能になっている。アンケート機能によって営業現場の声も収集されているそうだ。