パーソルキャリアが運営する転職サービス「doda」は、「転職市場予測2022下半期」を公開した。2022年下半期の転職市場は、全14分野のうち13分野で求人が増加し、市場全体が活発になると予測。新型コロナ感染拡大の影響によるIT化・DX推進人材の需要増加、建築・土木業界における労働基準法の猶予期間終了、製造業における団塊ジュニアの引退、メディカル(医療業界)における品質管理の強化を背景として挙げた。
14分野の詳細な予測
1.IT・通信(ITエンジニア)
「2025年の崖」回避に向けたDX推進、スタートアップ支援、「骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)」などを背景に、ITエンジニアの需要は今後も高まり続ける見込み。 アプリ系エンジニア、インフラ系エンジニアともに採用ニーズが増加。インフラ系エンジニアでは、サーバー、ネットワーク、クラウド、セキュリティなどあらゆるジャンルで求人が増加傾向にある。
2.電気・機械(製造エンジニア)
新型コロナ感染拡大の影響から回復している企業の増加、団塊ジュニア世代の引退を見据え、経験者・未経験者問わず採用ニーズが高まる兆し。語学力やマネジメント力を有する人材、電気・ソフトウェア領域のエンジニアの需要がとくに高まる傾向。
3.建築・土木
2024年4月の労働基準法改正の猶予期間終了を背景に、人員充足に向けた動きが強まる見込み。建設現場でのIT導入・DX推進を担える人材、とくに、3Dソフト「BIM」などの技術を有する人材のニーズが高まると予想。
4.金融
DX推進の加速を背景に、社内SEやシステム企画、データ分析・データサイエンティストや、事務企画、DX推進などの求人が増加傾向。金融業界に属さない企業がスマートフォンやPCで利用する金融サービスを立ち上げるケースが増えており、それに伴う人材募集も増える見込み。
5.メディカル
品質・規制関連を中心に求人が増加する見込み。今後もコロナワクチン、治療薬関連の治験実施が見込まれており、臨床開発関連の人材ニーズが高まる傾向。
6.営業
業種別ではIT、ウェブ、コンサル、職種別ではインサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスを中心に採用が活発化する見込み。医療、建設、不動産、証券、電子部品、化学、消費財、総合商社などの営業職採用も引き続き活況。
7.人事
採用停止・早期退職による人員不足を補うため、とくに採用を担当するポジションのニーズが増加。「離職率改善」や「社員のエンゲージメント改善」など、人材開発・組織開発の採用ニーズも高まる見込み。
8.経理
繁忙期を終えた下半期に転職を検討する人が増加することを見越して、求人も増加する見込み。日商簿記、公認会計士、内部監査人(CIA)などの資格保有者に加え、会計システムの経験者を企業が求める傾向。
9.法務
大手から中堅、ベンチャー、スタートアップまで、多くの企業で採用ニーズが続く見込み。IT活用の加速によって新規事業立ち上げやビジネスモデルの転換が進むことで、リスクを管理する法務職のニーズも高まると予測。
10.企画・マーケティング
経済活動再開よるマーケティング活動の加速に伴い、経験者を中心に企画・マーケティング職の求人が増加する見込み。売り手市場となることが推測され、広告代理店、ウェブ系企業を中心に、未経験採用を行う企業が増加傾向にある。
11.販売・サービス
新型コロナ感染拡大の影響は未だ残り、大きな採用計画の見通しは立っていないものの、全体を通して求人数は増加する見込み。ECサイトの運営スタッフや、倉庫・物流現場での人員管理・工程管理に携わる人材、フードデリバリー・テイクアウトサービス拠点の運営・配送スタッフ、調理スタッフなどで採用ニーズが高まると予想。
12.事務・アシスタント
欠員補充での採用が中心となり、求人数は横ばいの見込み。業績が好調なIT・ウェブ業界では事務職の採用を行う可能性があり、MOSの一般レベルのスキルを有する人材を求める傾向。
13.クリエイティブ(ウェブ系)
金融・小売業界などで需要が見込まれ、求人数は増加すると予想。業界問わず課題に挙げられている、UXデザインを軸としたユーザー体験の向上を解決するため、UI・UXデザイナーの採用ニーズが増加している。
14.化学・素材
化学・素材業界の転職市場は依然として活況。ニーズ拡大に伴い、経験者だけでなく業界未経験者採用も広がる見込み。カーボンニュートラルの実現に向け、電気自動車に関連するポジションや半導体の事業強化を目的とした人材の採用ニーズが高まると予想。