「Connect for Well-being」の実現に向けた挑戦の一環として「体臭の研究」を進めているロート製薬は、男性の活動シーンの違いと体臭の関係を解明する研究を実施した。
研究の結果、30代後半~60代前半の男性において、在宅勤務時の方が出社勤務時に比較して加齢臭と油臭が強くなること、また加齢臭と油臭の関連成分の量が増えていることを明らかに。なお、同研究内容は2021年9月22日に開催された「日本味と匂学会第55回大会」で発表も行われた。
研究成果概要
- 在宅勤務時の方が出社勤務時と比較し加齢臭が強くなることが判明
- 在宅勤務時は活動量が低いため汗や皮脂量も少なくなり、体臭は弱まることが予測されたが、出社勤務時と比較し加齢臭と油臭の発生量が多いことが判明
- 活動量が少ない就寝時においても加齢臭の発生量は多くなることを確認
研究背景
コロナ禍で急速に普及した在宅勤務に関して同社でヒアリングを実施したところ、在宅勤務を行っている家庭内で、「パートナーから加齢臭を指摘された」という声があがった。季節や年齢の違いによって体臭が変化することはすでに知られているものの、生活シーンの違いによる体臭の変化に関する知見は限られている。在宅勤務時と出社勤務時では仕事環境や活動量が大きく異なることが想定されるため、発生する体臭の質も変化している可能性があると考え、出社勤務時と在宅勤務時の体臭挙動の違いを確認することを目的とした研究が行われた。
研究結果
在宅勤務時の方が出社勤務時と比べ、加齢臭と油臭が有意に強くなることを確認
30代後半~60代前半の男性10名は臭い採取用のTシャツを着用し、1日は在宅勤務を、もう1日は出社勤務を行い、専門家パネラー10名によって6段階臭気強度表示法を用いた官能評価を実施した。結果、活動量は在宅勤務時の方が少なく、体臭の強さは在宅勤務時と出社勤務時で変化はなかった。一方で体臭の質は変化しており、加齢臭と油臭は在宅勤務時の方が強くなることが明らかに。
加齢臭と油臭の指標成分は在宅勤務時の方が多く検出され、官能評価の結果と同じ傾向を確認
加齢臭の指標成分として2-ノネナールを、油臭の指標成分としてカプロン酸、2-エチルヘキサン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、デセン酸を、汗臭の指標成分として酢酸の分析を実施。結果、在宅勤務時の方が2-ノネナール,2-エチルヘキサン酸が多く検出され、官能評価の結果と同傾向であることが確認された。
考察
同研究において、在宅勤務時と出社勤務時の体臭挙動を比較した結果、在宅勤務時の方が加齢臭と油臭は強く、今回の試験においてはその原因成分が2-ノネナールと2-エチルヘキサン酸であることが示唆された。一般的には活動量が多い方が汗・皮脂の量が増加し、加齢臭などが強くなることが予想されていたものの、今回の試験では逆の結果(活動量が少ない方が加齢臭が強くなること)が示唆された。