よくある営業課題を乗り越える いましか書けない「AI×営業」
『営業の科学』は高橋氏の9冊めの著書であり、432ページの大作だ。本書の執筆のきっかけについて高橋氏は次のように語った。
「営業活動には『あるある』な場面がありますよね。たとえばほとんどの営業は『検討しますのでお待ちください』とお客様から言われたことがあるでしょう。あるセミナーでは、お客様のこの言葉を聞いて失注を覚悟する人が7~80%でした。このようなよくある営業課題を乗り越える決定打を送り出せないかと考えていました」(高橋氏)
「決定打」を導き出すにあたり、営業1万人、そして「お客様」1万人への大規模な調査を行った。当初は1,000名規模の調査だったが、「自社の業界は特殊だ」という企業に勤める読者に対しても納得感を持ってもらえるように数の担保は意識したという。
AIをテーマにした『The Intelligent Sales』の注目ポイントは発刊のタイミング。高橋氏は、AIに対して誰もが関心を持っているものの、営業領域で活かすのは難しそうと感じているこの時期に上梓した理由を今井氏にたずねた。
「逆に言うと、このタイミングでしか出せないなと考えていました。そもそも書籍のテーマ候補も4つほどあり、その時点でAI×営業の優先順位は2~3番めだったんです。ただし、営業のための生成AIの教科書が存在しておらず、ポジショントークによるミスリードが発生していることにも危機感を抱いていました。自社の営業組織に必要なのか、必要だとしたらどのようなシーンなのか。各社がきちんと判断するための羅針盤を用意するべく、このタイミングを選びました」(今井氏)
ぜひ読んでほしい読者として、高橋氏は「自分なりに頑張っているけどなかなかうまくいかない営業パーソン」を、今井氏は「営業職はもちろん、管理職・企画職など『売れる仕組み』をつくろうとしている方や、未来を見据える経営者」を挙げた。