まず「お客様と接するのは楽しい」と思ってもらう
先日、Aさんとお話をしたときのこと。Aさんはプレイングマネージャー。自分で契約を取りながら部下を育てるといったハードワークをしている。新人営業スタッフについてこんな話をしていた。
Aさん「昔は新人営業スタッフには“とにかく人に会ってこい”と指導していました」
私「そういうのがありましたね」
Aさん「今はそんな指導をしたらパワハラになる可能性もありますし、そもそもせっかく採用した人材が辞めたら大変ですからね」
これまでの新人営業スタッフの教育は“当たって砕けろ”もしくは“とにかく数多くやれ”という指導が多かった。一昔前まで新人教育のひとつとして行われていたのが、飛び込み訪問だ。
飛び込み訪問はベストな営業スタイルとは言えないが、新人営業スタッフにとっては良い経験になった。しかし、今の時代に飛び込み営業は非常に厳しい。まずお客様が玄関を開けてくれない。法人営業でも99%は受付で門前払いになる。プライバシーやセキュリティ感覚が高まった現代では極めて非効率な方法だ。
そこでほとんどのマネージャーは“新規客へのテレアポ”をさせることになる。そのほとんど見込みがないお客様リスト、いわゆる“長期休眠客”ばかり。ここで経験を積ませている。
私もやったことがあるが、これはかなり辛い。5、6件、断りが続くと「次もどうせダメだろう」といったように考えるようになる。1日中やって見込み客をひとりも見つけられない。そんなこともよくあった。そのうちに会社に行くのも嫌になったものだ。
このAさんは新人にテレアポをさせていない。理由を聞くと「テレアポはほとんど断られるし、そんなことをさせれば営業が嫌いになってしまうから」と言っていた。1日テレアポで断られ続ければ「いったい何をしているのだろう……」と目的意識を失う。続けさせても良い方向には向かわない。
そうではなく「新人営業スタッフには契約客の打ち合わせの手伝いをしてもらっている」という。これなら冷たくされることはない。しっかり話ができるのでお客様慣れできる。お客様から喜んでもらえれば、営業に前向きになるものだ。
今の時代、新人営業スタッフを育てるのは難しい。焦らず「お客様と接するのが楽しい」と思う経験を積ませてあげるほうが順調に成長するもの。
また、もうひとつ良い育成方法をお聞きした。