部門間のアラインメントの重要性
前半に講演したのはマルケトでマーケティング本部に所属する小関氏。現在はマーケティングとインサイドセールス両方の仕事を見る立場にいるという。自身としてはDELLでインサイドセールスの現場、セールスフォース・ドットコム社でインサイドセールスの立ち上げやセールスイネーブルメントチームなどを経験したという。
小関氏は「世の中に存在する『まだ有名ではないが、素晴らしいサービス』を日本に広めたい」という気持ちで仕事を選んできたという。インサイドセールスという職種も数年前は誰も知らなかったが、いまはイベントにもこんなに多くの人が来場しており、それを嬉しいことだと語りセッションを開始。本セッションを「インサイドセールスを体感する1日」を有意義に、少しでも多くの学び・気づきを得て、モチベーションを高めるためのストレッチのような時間にしていきたいと述べた小関氏は「3人の木こり」の童話になぞらえ、次のような話をした。
「世界を旅するあなたは、ある1本道でひとりのインサイドセールスに出会いました。そのインサイドセールスは難しい顔で電話をかけています。『何をしているんですか?』と尋ねると、こう答えました。『アポをとっているんだ。私はこれで飯を食っているんだ』」
「あなたが歩き続けるとふたりめのインサイドセールスに出会いました。また尋ねますと彼はこう答えました。『僕は商談を作っているんだ。ヒアリング、美しいだろう。僕はナンバーワンのインサイドセールスになるんだ。そのために電話をしているんだ』」
「そしてあなたは3人目のインサイドセールスに出会いました。再び尋ねます。『ここでなにをしているんですか?』。3人目のインサイドセールスがどう答えたか。これは皆さん自身に考えてほしいと思います」(小関氏)
「これからの成長戦略」と題された基調講演に小関氏は「TOGETHER Achieving High Performance by Aligning the Revenue Engine」と副題をつけた。これはテキサスで開催されたBtoBマーケティングのカンファレンス「SiriusDecisions」のメインテーマだったという。
「アメリカのBtoBマーケティングではこういうことが言われているんです。つまり、マーケティング部門とかインサイドセールス部門とか、営業チームとかそれぞれの最適化ではなく、レベニューチームというひとつのチームとして成果を出すことが目下のテーマなんです。もちろん部分最適も大事ですが、それよりも大事なのが『アラインメント』と全体の成果です」(小関氏)
日本ではまだ聞き慣れない「レベニューエンジン」だが、海外では比較的よく使われており、近いうちに日本でも使われるようになるのではないかと小関氏は予想。「チーフレベニューオフィサー」という役職も出てきているとのこと。
図の要素をすべて含むのがレベニューエンジンであり、インサイドセールスはこの全体感を俯瞰で見ていくことが大事だという。続いて、小関氏は、「SiriusDecisions」で共有された部門間のアラインメントに関するサーベイのスライドを見せ、各部門間のアラインメントの重要性を述べた。たとえば企業において、「Vision」に関しては各部門でアラインメントをとれていても、項目によってはアラインメントが弱くなっているものもあると考えられる。レベニューエンジンは、セールスだけではなくて、製品事業部門や、カスタマーサクセス部門も含む概念であり、「相対的にみればここのアラインメントがとれていないね」などと全体を見ながら調整してくことが重要だというわけである。