ボトルネックを特定できなければ、適切なトレーニング・コーチングはできない
セールス・イネーブルメントとは、システム思考で営業を紐解いた12個のブロックからなるものです(引用:Mike Kunkle「Building Blocks of Sales Enablement」)。今回は、ブロックの中の「営業トレーニング」「営業コーチング」に触れていきたいと思います。
組織全体の売上や生産性を伸ばしていくにあたり、営業パーソン個々のスキルアップは不可欠です。そのために多くの企業がロールプレイングや商談同行、商談フィードバック、1on1といった「営業トレーニング」「営業コーチング」に取り組んでいますが、まだまだ量として足りていないと言われています。
マッキンゼー・アンド・カンパニー パートナーの倉本由香利氏によると「グローバル・べストプラクティスから考えると、マネージャーはコーチングに3割程度使うのが理想」であると述べられています(※)。しかし、次の資料からもわかるように、日本はベストプラクティスと比較し大きな乖離があるのが現状です。
コーチングやトレーニングへの時間を増やしていくことが必須とはいえ、それらを実現するのに大きな障壁となるのが「商談のブラックボックス化」です。対象の営業パーソンの状況を把握し、ボトルネックとなっている部分を特定できなければ、適切なトレーニング・コーチングはできません。
では、実際に「ボトルネックの特定」はどのように行うのか。この連載の第2回の記事でも解説したように、その第一歩が「商談の可視化」です。商談分析ツールなどをはじめとしたSales Techは今、世の中に多数登場しており、商談の可視化は容易になってきました。可視化ができたら次は分析です。最近は生成AIを実装した分析ツールも登場し、さまざまなインサイト(=気づき)を営業にもたらしてくれるようになってきています。
ここからは、実際にSales Techを活用して商談を録音・分析したり、育成の仕組みをつくったりしたことで、営業のボトルネックを特定・解消した事例をご紹介していきます。