量を質に転換する方程式「熱意×考え方×能力」
ブレーンバディでは、営業を「顧客の問題を解決する仕事」と定義しています。この定義を基に考えると、知識も深く経験豊富な営業社員に新人営業が勝つのは至難の業でしょう。
新人営業がお客様の問題を解決できるようになるには、“量”と向き合うことを避けては通れません。売れる新人営業は「打席数(実際に顧客と接点を持つ数)」が圧倒的に多いのが特徴です。多くの打席に立ち、その場で学んだことを自身の営業スキルに落とし込み、それをお客様に還元する。このサイクルを上手く回しているのが売れる営業なのです。
打席数を担保し続け、質に転換していくために大切なのは「熱意×考え方×能力」をバランス良く伸ばすこと。これは、京セラ創業者の稲盛和夫さんが提唱した「人生の方程式」という考え方で、ご存知の方も多いでしょう。
私のキャリアの中でも、「熱意」は申し分ないと思う新人営業はたくさんいました。彼らは非常に一生懸命で、迅速な対応をします。顧客も熱心さを気に入り、仕事を頼みたいと考えてくれます。しかし問題解決能力が低いと、顧客の課題が解決されず、成果には結びつきません。一方、「能力」が高くてロジカルに物ごとを考えられても、熱意が欠けているために顧客から信頼を得られず、結局は顧客に選ばれない営業もいます。
「考え方」は、物ごとの解釈力と言い換えても良いでしょう。同じ状況でも、どのように解釈して対処するかで、成果は大きく変わります。たとえば、アポイント獲得率10%の環境で、10件電話をかけて1件もアポがとれなかったとします。そこで「標準的な成果に達しなかった」と諦めるのか、それとも「約10%だと考えれば、11回めは必ずアポがとれるはず」ともう1件電話するかで、成果は異なるはずです。良くない状況でも、打開するためにどうすべきか前向きに考えることが、営業としての成功につながります。
昨今、テクノロジーの発達により営業領域でもさまざまな活動が効率化されていますが、最後は“人”に依存する部分も多く、人によって成果は異なります。ツールの活用に留まらず、個人の力を高める姿勢がとても大切です。次ページでは、新人営業育成の前提となる「評価基準」について解説しましょう。