営業活動を“低難易度化”させるには?
営業活動は個人の経験や勘に頼るなど属人化しやすい傾向がありますが、より効率良く成果を上げるには、営業プロセスを細分化し、やり方を整理して型化する必要があります。これにより、たとえ難しい案件であってもやるべきことが明確になり、営業の難易度を下げ、トップパフォーマーでなくても売上を上げることができるようになります。
では、具体的に何をすべきでしょうか。それは、カスタマーパスの設定と、それに基づいた営業プロセスの設計・案件管理・KPIの設計です。
カスタマーパスとは、前回の記事で解説したとおり、「顧客が製品/サービスを購入するまでの意思決定プロセスを言語化したもの」を指します。
カスタマーパスを用いた「営業プロセス設計」 顧客の“理想的な認識”から考える
顧客に製品/サービスを購入してもらうには、営業は顧客の状況や考えを正しく把握し、次のフェーズに移行させるためのアクションを起こしていく必要があります。この「営業プロセス」は、設定したカスタマーパスに基づいて次のように設計していきます。
1. 各フェーズにおける顧客の理想的な認識について考える
まずは、「顧客がどのような認識を持っていれば製品/サービスを買ってくれるか」という、カスタマーパスの各フェーズにいる顧客の「理想的な認識」を考えます。
例として、MA(マーケティングオートメーション)を販促する企業が顧客の「理想的な認識」を考えるケースを想定しましょう。顧客が自社の戦略を達成するための戦術としてMAを選ぶことが理想になりますから、売り手企業は「顧客がMAを選ぶ便益」を整理していくことになります。
(例)MAを販促する企業における「顧客の理想的な認識」の導き方
- 顧客のニーズ:取引アカウント数を増やして売上を上げたい。そのために、営業活動の中で接点のあった顧客データを活用したい
- 顧客のフェーズ:課題解決に向けた戦術の決定
- 顧客の理想的な認識:営業活動で接点のあった担当者のメールアドレスを正しく記録し、メール配信を行うことで受注につながる商談が多数つくれる
これが、「顧客の理想的な認識を考える」という行為です。
2. 顧客の認識を判別する項目を書き出す
一方で、すべての顧客が「理想的な認識」を持っているとは限りません。「今まさに課題解決に向けた戦略の決定のフェーズです」と言っている顧客でも、実はその前の「目的(ニーズ)に対する課題整理」のフェーズにおいて認識が不十分であったがために、結局購入に至らないようなケースも起こり得ます。
そのような失注を防ぐためにも、顧客が各フェーズで「理想的な認識」を持っているかを、営業は把握しなければなりません。また、顧客がどのようなレベル感で目的や課題を認識しているかを確認し、温度感を見極める必要があります。
そこで、営業が各フェーズで顧客に質問すべき項目を考えましょう。たとえば先ほどのMAを提供する企業が、顧客が実際に「データ集計の工数を極力減らしたい」と思っているかどうかを確認するには、「現在データ集計にかかっている工数」について質問し、顧客がそれに対してどのように考えているかを聞き出します。
3. 顧客の認識を変えるために営業がとるべきアクションを決める
最後に、顧客が次のフェーズに移行するために営業がとるべきアクションを考えます。顧客が問題なく次のフェーズに移行するためには、現状顧客が持っている認識を「理想的な認識」に変える必要があります。
顧客が課題解決に向けた戦略決定のフェーズにいながらも「理想的な認識」を持っていない場合、営業は戦略決めや戦略の優先順位づけに必要な情報を提供し、顧客をサポートします。